老害ならぬ「若害」とうまく付き合うには?世代間の違いに基づいた課題と企業として取るべき適切な対応策

2025.4.23

老害ならぬ「若害」とうまく付き合うには?世代間の違いに基づいた課題と企業として取るべき適切な対応策
新年度がスタート。私が本拠地を置く大阪では「関西万博」もオープン。前評判ではイマイチ盛り上がっていない、と言われていますが、この記事がアップされる頃には、人気も上がってきて、入場予約、ブース予約が取りにくくなっているのではないか、と想定しているところです。

私は、ご支援先が6月にブースを1週間ほど出すのに合わせて関西万博初参加しつつ、55年ぶりの大型万博で次に日本で開催される頃には参加できない状況だと思いますので、今回は2、3回程行って満喫しようと思っています。

万博で世界各国みな仲良くしよう、という雰囲気が出ている中、アメリカの経済政策で世界中が新たな考え方を求められている状況で、新NISAから投資を始めた方々(私も含め)の中には、朝方に目が覚めて寝不足の方もいらっしゃるかと思います。本気で気になると体が反応するものですね。

前回号でお伝えした長女も、この記事を作成している時期はちょうど4月からの新入社員研修中で、3週間の泊まり込み研修で毎日テストがあり、60点以上を取らないと補講があるようで、最初は10点台が連発していたそうでした。夜の22時くらいまでテストの補講や予習・復習があり、と親心としては最初に厳しく教育してもらえると後がやりやすくなるので、ビシバシやってください!という気持ちがありつつ、本人からのラインでは「うちの会社ブラックや」、というメッセージが。。何かあるとすぐにブラック、という表現を出すんですね。。。。

研修中はまだ練習、実際の仕事になったらお金をいただくからもっとシビアだよ、と若者からすると老害的なコメントを長女に発信しているところです。

さて今回は、まだまだ若手の定着のために気を使いすぎて社内バランスがおかしくなるのも困る、という企業様も多い中、老害ならぬ「若害」という言葉を最近知る機会がありましたので、共有させていただければと思います。

若手定着の裏で揺らぐ社内バランス

近年、多くの企業で若手社員の早期離職が深刻な課題となっています。そのため、企業側も「いかに若手に居心地の良い環境を提供するか」に心を砕き、配慮を重ねています。しかし、その過程で新たな歪みが生まれているのも事実です。ベテラン社員との間に軋轢が生まれたり、若手が過度に“特別扱い”されることで、組織全体のバランスが崩れてしまうケースも少なくありません。

ここでは、「老害」に代わる言葉として注目される「若害」という概念を紹介し、世代間の違いに基づいた課題と、企業として取るべき適切な対応策について考えてみたいと思います。

若害とは何か?——新しい“害”のかたち

「老害」という言葉はすでに広く知られていますが、それに対比されるように近年耳にするようになったのが「若害」という表現です。これは年長者に対してではなく、若手社員が自分本位な言動で周囲に悪影響を及ぼしている状態を指します。具体的には以下のような特徴があると言われています。

・指示待ち型で自主性がないのに、裁量を求める

・ミスをしても責任を認めず、「教えてくれなかった」と周囲に責任転嫁する

・経験の浅さゆえの自信過剰(キン肉マン流にいうと“とにかくすごい自信だ”(根拠のない自信))

・指摘やフィードバックを「攻撃された」と受け取る傾向(打たれ弱い)

もちろん、すべての若手がこのような言動をとるわけではありません。しかし、企業が若手の離職防止に力を入れるあまり、こうした「若害」を許容し、正当化してしまう風潮が一部で見られるのも事実で、なぜアイツは入社してまだ浅く、仕事も一人でできないのにあれで許されるんだ、という声が社内で出ている状況です。

世代間の価値観の違いを正しく理解する

「若害」と言われるような行動の裏には、単なる人格の問題ではなく、価値観や社会背景の違いがあると思っています。たとえば、昭和・平成初期世代は「会社に尽くす」「我慢してでも続ける」「お客様は神様です」ということを美徳とする価値観で育ってきました。一方、Z世代と呼ばれる現代の若手は「自己実現」「心理的安全性」「働きやすさ」を重視します。

この違いを知らずに、年長者が「俺たちの頃はこうだった」と一方的に押し付けてしまえば、若手との間には溝が深まるばかりです。逆に、若手が「今は時代が違うんです」と年長者の努力や苦労を軽視すれば、尊重のない組織になってしまいます。

老害と若害の典型的な対話例

以下は、現場でよく見られる世代間ギャップによるすれ違いの一例です。

ベテラン社員:「もう少し自分で考えて動けよ。昔は先輩の背中を見て学んだもんだ。」

若手社員:「でも、それってちゃんと教えてもらってないってことですよね?失敗したら責められるのに…。」

ベテラン社員:「失敗から学ぶもんだろ。いちいち説明なんてなかったぞ。」

若手社員:「それじゃ、失敗=評価が下がる今の仕組みと合ってないです。」

このような対話の背景には、「経験重視」と「合理性・安全重視」という価値観の違いがあります。このままの平行線では、どちらもストレスを抱え、最終的には職場への不信感へとつながります。

また、よくあるケースでは、上記の流れの中で、若手社員が失敗した際に、指導・教育のつもりで気を使いながら先輩・上司が面談をしたにも関わらず、若手社員から「説明を受けてない内容で指導されてもメンタル病みますよ」「パワハラですやん」とすぐにパワハラ、というキーワードが出てきて、先輩・上司側は徐々に若手と距離を置きだし、さらに失敗が発生し、最後にはアイツは仕事ができないのに謙虚に話を聞こうとしない、改善しようともしない、という関係悪化がスタートし、退職させたいのですが、と私のところに相談が入ってくるパターンがあります。

企業として取るべき対応策(パワハラにならない指導のあり方)

若手に配慮しすぎて組織の秩序が乱れるのも、放任してしまって早期離職されるのも、どちらも避けたい事態です。では、企業としてどのように「若害」とも言える行動に対処すれば良いのでしょうか。

1.評価基準とフィードバックの明確化

感情や感覚での指導ではなく、「なぜそれが問題か」「どう改善すれば良いか」を、構造的・論理的に伝える必要があります。あいまいな指摘はパワハラと受け取られかねません。

2.研修・OJTの再構築

「見て覚えろ」ではなく、「どう見ればいいか」「なぜそれが必要か」まで教えることが求められます。若手への過度な配慮ではなく、“共通言語”を育てる姿勢が重要です。

3.ベテラン側への世代間ギャップ教育

一方で、ベテラン社員に対しても、時代や価値観の変化に対する理解を促す研修が必要です。「今どきの若者は…」と切り捨てるのではなく、違いを前提としたコミュニケーションスキルを育てましょう。

4.若手の“自走”を促す育成制度の導入

若手に“与える”のではなく、“自ら取りに行く”姿勢を促す仕組みが必要です。たとえば、月1回の自己評価シートや、直属の上司や先輩ではなく、部門・部署を超えて比較的年齢層の近い若い方からの同僚的評価など、自分で考える機会を設けるとよいと考えています。

まとめ

「老害」も「若害」も、実は“世代間の理解不足”が生んだ言葉にすぎません。若手に過剰な配慮をするのではなく、世代の違いを踏まえた公正なルールと対話の文化を整備することが、企業にとっての本質的な若手定着策です。

「人を活かす組織」は、“若手”か“ベテラン”かではなく、“対話できるかどうか”で決まります。

さらに、対話ができる土壌として、やはりお花見やバーベキューといった定番的なリアルコミュニケーションを頻繁に取ることが大事であり、それを会社としても重視している、ということを面白、おかしく、ラフにお伝えし、継続的に実施することが重要だと信じている私は老害かもしれませんね。。。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

CO-MITでは、様々な目的から全国で研修・合宿施設の検索が行えます。
研修合宿施設検索サイト「CO-MIT(コミット)」で施設検索する!

また、ご希望の研修合宿を一括手配する「専門家に相談」サービスもご用意しております。
ホテルや研修センターをはじめ、全国のさまざまな施設と緊密に連携。研修や合宿の目的・日時・参加人数などを踏まえ、プロの視点から最適な施設および備品等の選定・提案・手配を進めます。
ぜひお気軽にご利用ください。
専門家に相談する!

記事一覧へ

SEARCH NOW CO-MITで施設探しをしてみませんか?

CO-MITは“研修合宿のプロが選んだ、厳選された会場を「プロ目線で検索できる」”
研修合宿施設の検索サイトです。

施設を検索してみる