社員を守るために企業が知っておくべき「こころの耳」相談窓口について

2025.10.20

社員を守るために企業が知っておくべき「こころの耳」相談窓口について
こんにちは。物価の上昇が止まらない中、新しい日本のトップも決まり、どのような政策で国民生活を守ってもらえるのか、関心が高まっていることと思います。

企業を取り巻く環境も変化し続ける中、労務管理の業務では「退職代行」が何となく定着されつつありますが、さらに「休職代行」「退職引き止め代行」「上司代行」といったものまで現れ、新たな選択肢が増えてきている状況です。

今回は、「相談窓口代行」という軽い感じのものではありませんが、悩まれている職場の方々の救いの手になるきっかけとして、厚生労働省が8月にリニューアルした無料の相談窓口サイトをご紹介し、社員へ提示できる選択肢としてご検討いただければと考えております。

11月は「過労死等防止啓発月間」

私もあまり認識していませんでしたが、厚生労働省では、毎年11月に過労死等をなくすためのシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行っています。

11月中は、各都道府県において「過労死等防止対策推進シンポジウム」を行うほか、「過重労働解消キャンペーン」として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導やセミナーの開催、一般の方からの労働に関する相談を無料で受けつける「過重労働解消相談ダイヤル」などのサービスが受けられます。

過重労働解消相談ダイヤル

11月1日(土)から11月7日(金)までを過重労働相談受付集中期間(11月2日(日)、3日(月・祝)を除く。)とし、都道府県労働局及び労働基準監督署において、労働相談と労働基準関係法令違反が疑われる事業場の情報を積極的に受け付けてくれます。

11月1日(土)には、下記相談窓口にて電話による特別労働相談のサービスもあります。

過重労働解消相談ダイヤル

電話番号:0120-794(なくしましょう)-713(長い残業)(フリーダイヤル)
実施日時:令和7年11月1日(土)9:00~17:00
※労働基準監督官が、相談に対応

労働条件相談ほっとライン【委託事業】

電話番号:0120-811(はい!)-610(労働)(フリーダイヤル)
実施日時:令和7年11月1日(土)9:00~21:00
※労働条件相談ほっとラインの相談員が相談に対応します。

上記のようなサービスがあることを社員に案内できる会社はそもそも大きな問題は抱えてなさそうですが、正々堂々と問題には対応していく姿勢を示すためにも情報発信されても良いかと思います。

社員を守る仕組みとしての「こころの耳」相談窓口

企業で人事を担う皆さまにとって、職場のハラスメント防止は避けて通れないテーマです。パワハラやセクハラ、マタハラなど形はさまざまですが、共通するのは「被害を受けた社員の心身をむしばみ、職場全体の空気を壊す」という点です。

ハラスメントが放置されれば、当事者だけでなく周囲の社員の士気も下がり、生産性や定着率にも直結します。人事担当者が日頃から適切に対応できる体制を整えることは、企業の健全な成長に欠かせません。

社内窓口だけでは限界がある

とはいえ、社員が必ずしも社内相談窓口を利用するとは限りません。

•「上司に知られるのでは」
•「人事に相談すると自分の立場が悪くなるのでは」
•「社内に味方がいないかもしれない」

こうした不安から、声を上げられないケースは少なくありません。特に中小企業では、相談窓口を形式的に設けていても実際に機能していない場合もあります。

このとき役立つのが、公的な外部窓口です。厚生労働省が運営する「こころの耳」相談窓口は、社員にとってのセーフティネットであり、企業にとっても心強いパートナーになり得ると考えています。

「こころの耳」相談窓口が2025年8月にリニューアルしています!!

「こころの耳」は、全国の労働者やその家族、さらに人事労務担当者自身も利用できるメンタルヘルスのポータルサイトです。

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/soudan/

相談手段が大幅に広がり、便利になっています。

• 電話:直接声を聞いてもらえる安心感がある。緊急性の高い事案に向いている。
• SNS:匿名性を確保しやすく、若い世代にとっても親しみやすい。気軽にアクセス可能。
• メール:自分の言葉で状況を整理し、証拠としても残せる。時間を気にせず相談できる。

このように選択肢が増えたことで、社員一人ひとりが「自分に合った方法」で相談しやすくなりました。企業としても、この情報を積極的に周知することが、早期発見と解決の第一歩になると思います。

社員を守るために人事担当者が取り組むべきこと

ハラスメントを防ぐには、社員本人だけでなく企業側の姿勢が問われます。人事担当者として、次のような取り組みが重要です。

1. 相談しやすい雰囲気づくり

「相談しても不利益はない」という企業メッセージを繰り返し発信すること。形式的な窓口だけではなく、社員が安心して声を上げられる文化づくりが不可欠です。

2. 外部窓口の案内

社内に相談しづらいと感じる社員もいることを前提に、「こころの耳」のような公的窓口を周知する。これが企業の信頼を守る行為にもなりますし、無料である点は企業側にとってもありがたいところです。

3. 記録の大切さを伝える

社員に、日付や発言内容を客観的に残すことの重要性を伝える。後の対応で役立つだけでなく、相談員との共有にも役立ちます。

4. 自分自身も相談者になる

難しい事案に直面したとき、人事担当者自身が「こころの耳」に相談することも可能です。外部の専門家の意見を得ることで、企業としての対応精度も上がります。

外部相談窓口を案内することでの企業側のメリット

外部相談窓口を積極的に案内することは、単なる“社員支援”にとどまりません。企業そのものに次のようなメリットがあります。

• 人材の流出を防ぐ

安心して働ける環境が整っていれば、社員が離職に追い込まれるリスクを下げられる。

• 生産性の向上

不安やストレスが減ることで、社員が業務に集中しやすくなる。

• 企業イメージの向上

外部資源を活用して社員を守る姿勢は、社会的な信頼性を高め、採用活動にもプラスに働くと思いますので、会社説明時に相談窓口体制をしっかり伝えることは重要だと考えています。

まとめ

ハラスメントは“誰にでも起こり得る問題”です。だからこそ、相談できる環境が整っているかどうかが、社員の安心感を大きく左右します。

「こころの耳」相談窓口は、社員にとっての駆け込み寺であり、人事担当者にとっても難しい判断を支える外部リソースです。電話・SNS・メールの中でも特に、SNS・メールといった時間と場所を問わず、社員が相談したい時に声を発することができる、安心して利用できる方法を選べる今こそ、企業として積極的に紹介し、相談のハードルを下げる努力が必要ではないでしょうか。

社員が安心して働ける環境を整えることは、企業の持続的成長に直結します。「こころの耳」という公的支援をうまく活用しつつ、これをきっかけに、その他の無料の相談窓口の情報収集を行いつつ、場合によっては有料となっても良いので専門家のアドバイスや直接的な支援を受け、ハラスメントから社員と企業を守る仕組みを一緒に作っていく。

この姿勢と実践が、採用力や定着力の向上に繋がり、企業の成長発展を継続させていく土台になっていくものと確信しています。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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