アンラーニングとは?リスキリングとの違いや企業で推進するメリット・デメリット、やり方を解説

2024.10.16

アンラーニングとは?リスキリングとの違いや企業で推進するメリット・デメリット、やり方を解説
少子高齢化や組織改革、技術革新、市場のグローバル化などにより、企業が抱える社会課題は計り知れません。

このような多様化する社会で人と企業が生き抜くためには、新しい知識を取り入れ、柔軟に対応していくことが必要です。しかし、時にはこれまで学んだ知識や価値観が妨げになることも少なくありません。

そのため、人材育成にアンラーニングを推進する企業が増えています。

今回は、アンラーニングの必要性、メリット・デメリットを解説します。またリスキリングとの違いも解説しますので、アンラーニングの推進を検討中の方は、ぜひ最後まで読んで理解を深めてください。

アンラーニングとは

アンラーニングは「学習棄却」や「学びほぐし」とも呼ばれます。

これまで培ってきた価値観や身に付けた知識を意識的に捨て去り、新しい知識や価値観を取り入れる概念です。

このアンラーニングの学びは、現代社会において重要視されています。

環境の変化が激しいVUCA時代では、従来の知識やスキルに固執することなく、社会変化に柔軟に対応できる人材が求められます。これまで学習した知識であっても、時代にそぐわないようになったり、役に立たなくなったりすることも少なくありません。

そのため、古い価値観や習慣を捨て、新しい価値観や知識を習得するアンラーニングの重要性が高まっています。

アンラーニングは「学習棄却」とも呼ばれますが、過去の学習で得たものを完全に捨て去ることではありません。

必要なものとそうでない知識や価値観に気づき、自身の成長のために学びを軌道修正・アップデートすることがアンラーニングです。

アンラーニングとリスキリングとの違いとは?

アンラーニングと似た言葉に「リスキリング」があります。

アンラーニング 必要のない知識やスキルを取捨選択し、変化に対応した学びを得る
リスキリング 社会変化に必要な知識やスキルを新たに獲得する

経済産業省では、リスキリングを以下のように定義しています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|リクルートワークス研究所
   ​https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf

リスキリングは、社会変化に応じ、新しい職業や仕事に必要なスキルを身に付けることを目的としています。対してアンラーニングは、既存の古い知識や考え方を捨て、変化に合わせた知識や技術を習得することを目的としています。

なお、リスキリングを促す前段階として、アンラーニングの導入が効果的です。人事担当者は、この2つの違いを把握しておくことが望ましいでしょう。

アンラーニングはなぜ必要なのか?

アンラーニングはこれまでの知識やスキルを意識的に放棄し、新たに必要なものを身に付ける学びですが、なぜ今の時代に必要なのでしょうか。

理由として挙げられるのは、従来の価値観や仕事のやり方に固執していては、社会環境の変化が激しい現代に対応することができないためです。

近年、DX化の推進やAIやIoTなどテクノロジーの出現、働き方の多様化などで、労働人口や人材が不足していることも要因として挙げられます。

企業の競争力向上やイノベーションの創出には、新たな知識を取り入れ柔軟に社会に適応できる能力が求められています。そのため現代社会において、アンラーニングの必要性はますます高まっていくと考えられます。

アンラーニングのメリット5選

アンラーニングを導入することで得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

アンラーニングのメリットは、次の5つが考えられます。

  • 人材育成への高い効果
  • 従業員の意識改革
  • 業務効率化
  • 変化に強い組織にづくり
  • 組織全体の学習文化の構築
  • アンラーニングにより、従業員が既存の価値観や知識にとらわれず、新たなスキルを身に付けることは企業成長に重要です。

    アンラーニングのメリットを把握し、人材育成を進めていきましょう。

    人材育成への高い効果

    アンラーニングに取り組むメリットとして挙げられるのが、人材育成への高い効果です。

    アンラーニングの人材育成効果は、以下のとおりです。

  • 新しい知識の獲得
  • 柔軟な思考力の醸成
  • 創造力と問題解決能力の向上
  • 人材定着率の向上
  • どんなに知識や経験が豊富な優秀な人材でも、既存の考えや自分のスタイルに固執していては伸び悩んでしまうでしょう。そういった意味でも、従業員の成長を促すためにアンラーニングは効果的です。

    アンラーニングは古い知識や習慣を捨て、新しい知識を取り込む概念です。アンラーニングの人材育成効果により、柔軟な思考力が身に付き、創造的なアイデアが生まれやすくなります。

    また、アンラーニングに取り組むことにより、人材定着率の向上も期待できるでしょう。

    従業員の意識改革

    アンラーニングの導入により、従業員の意識改革が期待できます。

    アンラーニングは、これまで学んだ知識や価値観を捨て、新たな学びを得る概念です。学んだことをゼロにするわけではなく、これまで蓄積してきた知識や価値観を一旦リセットすると考える方が分かりやすいでしょう。

    近年は、AIなど技術革新のスピードが早く、今まで活用できていたスキルや知識がすぐに役に立たなくなってしまうことも少なくありません。また、過去の成功体験にこだわるあまり、自身の成長を妨げる要因になっていることもあります。

    こうした中で、従業員の意識改革ができるアンラーニングは効果的です。アンラーニングを通して新しい価値観や社会に対応できる柔軟性を身に付けられるようになります。

    業務効率化

    アンラーニングは、業務効率化の向上もメリットとして挙げられます。

    既存の仕事の進め方やルールが時代遅れになっているケースも少なくありません。アンラーニングの導入により、無駄を省き、ルールや業務フローを見直すことで、より生産性の高い働き方が可能です。

    アンラーニングの取り組みにおける業務改善の一例として、紙を削減し、デジタル化するペーパーレス化が挙げられます。新しいテクノロジーを活用することで、業務改善に繋がる可能性も大いにあるでしょう。

    新しい取り組みやルールを導入する場合、変化に慣れるまでは時間がかかることも多く、中長期的に取り組んで実施することが望ましいでしょう。

    変化に強い組織づくり

    アンラーニングのメリットとして、変化に強い組織づくりが挙げられます。

    アンラーニングの推進により、従業員はこれまでのやり方に固執せず、新しい視点で物事を見ることができるようになります。環境や社会変化に対応できる人材が増えれば、柔軟性のある組織体制を整えることが可能になるでしょう。

    またアンラーニングにより、従業員は知識やスキルのアップデートを行うことができます。発想力が高まれば、組織をスピーディーに成長させることが可能です。

    社会変化に合わせて企業が変化できれば、イノベーションの創出や競争力の強化など、さまざまなメリットが期待できます。

    組織全体の学習文化の構築

    アンラーニングは、組織全体の学習文化の構築ができることもメリットです。

    近年の社会環境の変化は著しく、企業は常に変化に対応する力が求められるようになってきました。変化に柔軟に対応できる組織にするためには、従業員それぞれの意識改革が必要です。

    アンラーニングは、自身の思考パターンや価値観を見つめなおす機会を得ることができるため、意識改革に役立ちます。それぞれが学び、組織で考え方を共有することで、人と組織が学び合う文化が構築されます。

    組織全体で学び合う文化の構築は、企業成長と組織力の強化が期待できるでしょう。1人1人が成長することによって、組織も大きく変えることができるという意識を持ってアンラーニングを行うことが大切です。

    アンラーニングのデメリットと注意すべき点

    アンラーニングの実践は多くのメリットをもたらしますが、デメリットや注意点はあるのでしょうか。

    ここでは、アンラーニングのデメリットに関して解説します。

  • 従業員のモチベーション低下
  • 個人での実施は高い効果を得られない
  • 内省で自分自身を責め過ぎてしまう
  • アンラーニングは新たな知識を取り入れるために、既存の知識や考え方・価値観を意識的に取り除く手法です。人材育成戦略をする上では上記のデメリットを把握し、アンラーニングの推進を図りましょう。

    従業員のモチベーション低下

    アンラーニングのデメリットとして、従業員のモチベーション低下が挙げられます。

    経験やスキルが高い従業員の場合、過去に得たスキルや知識を否定することで、モチベーション低下を引き起こす可能性があります。また、これまで得たものを捨てることに否定的な意見や、混乱を引き起こす可能性があることも覚えておかなければなりません。

    そのためアンラーニングを実施するときは、心理的安全性を確保するために、実施する目的や目標をしっかり伝えることが必要です。そして、アンラーニングは、自己成長のために必要になる取り組みであるということを理解してもらうことが重要です。

    個人での実施は高い効果を得られない

    アンラーニングのデメリットとして、個人での実施は高い効果を得られないことが挙げられます。

    例えば、一部の従業員が何の前触れもなく仕事の進め方や方法を変えてしまっては、混乱や不和、業務効率を落とすことに繋がりかねません。そのため、アンラーニングに取り組む際は、組織やチームで取り組むようにしましょう。

    組織やチームでアンラーニングを行うことで、個人だけでなく組織の成長も期待できるでしょう。また異業種や他部署などの人と交流を図ることも、アンラーニングの実践で推奨したい取り組みです。異なる価値観に触れることで、お互いによい影響をもたらすでしょう。

    内省で自分自身を責め過ぎてしまう

    アンラーニングは、内省を促すことから始めます。しかし、内省により自分自身を責め過ぎてしまう恐れがあることがデメリットとして挙げられます。

    内省とは、自身の考えやこだわり、言動について深く省みることです。アンラーニングにおける内省は、組織単位で行うようにしましょう。これまでの仕事のやり方や知識を客観的に見つめることが大切です。

    決して自分を責め過ぎたり、自己否定したりすることがないように注意してください。

    内省は古い習慣や固定観念から気づきを得て、成長するために重要な過程です。組織に合った方法で、個人と組織の内省を促す場を設けるようにしましょう。

    アンラーニングのやり方3ステップ

    アンラーニングを実践するには、どのように取り組むとよいのでしょうか。

    ここでは、アンラーニングのやり方とポイントを解説します。

    1.従業員に内省する時間を設ける
    2.価値観について取捨選択をおこなう
    3.新たなことを学ぶ場の提供

    なお、アンラーニングは短期的に目に見えるような成果が出るものではありません。企業においては中長期的な計画で進めることが望ましいでしょう。

    1:従業員に内省する時間を設ける

    アンラーニングの最初のステップは、「従業員に内省する時間を設ける」ことから始めます。

    アンラーニングを成功させるためにも、リフレクション(内省)は重要なステップです。
    リフレクション(内省)では、従業員自身が自身のスキル・思考・価値観・行動を客観的に見つめなおします。

    内省を通して自身の成長を阻害しているものや、時代に合っていないものが何かを気づくことが大切です。自分が感じていること、なぜそう感じるのかを紙に書き出してみるとやりやすいでしょう。

    またアンラーニングの内省では、自身を批判的に見る批判的内省も重要です。個人のリフレクション後に他のメンバーと共有し、継続してリフレクションの場を設けることが望ましいでしょう。

    2:価値観について取捨選択を行う

    次のステップは、価値観について取捨選択を行うことです。アンラーニングにおけるこの段階は非常に重要です。

    アンラーニングはこれまでの価値観や知識を認識し、必要なものを取捨選択し、学びを軌道修正する手法です。内省によって自己が認知した価値観を、他者と照らし合わせながら取捨選択することで方向性が明確になります。

    これには、他者と現在と将来の目標を見据えた視点で合致するものを選択します。なお、1人での判断は難しいため、チームや組織でサポートすることが望ましいでしょう。アンラーニングにおける「捨てるべきもの」は何かについて慎重に選択していくことが大切です。

    3:新たなことを学ぶ場の提供

    アンラーニングを推進する上で企業は、新たなことを学ぶ場を提供することが必要です。アンラーニングで不必要な価値観やスキルを取り除いた後には、新たな知識やスキルを取り入れるプロセスが重要です。

    学ぶ場として、研修やセミナー、ワークショップなどが挙げられます。会社は従業員の成長に繋がるような内容を提供することが大切です。学びと実践を組み合わせた研修の提供は、従業員の成長に役立ちます。

    継続的に内省を行い、それぞれの成長に繋がるような研修を行うことが組織全体の向上に繋がります。また、アンラーニングの取り組みの最後には振り返りとフォローが重要です。

    振り返りを通じ、自己の成長や学びを見つめ直し、次に何が必要なのかを明確化することができます。

    アンラーニングの実践には、CO-MITの越境学習プログラムが最適です。越境学習では、現在の職場以外で異なる文化や価値観にふれるため、自己の成長に繋がります。

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    アンラーニングの具体例2選

    アンラーニングは、これまで身に着けてきた知識やスキルを意識的に手放し、新しい時代に対応できるスキルや価値観を習得する学びです。

    従業員の自律的なキャリア形成にも繋がり、アンラーニングに取り組む企業も増えています。アンラーニングは自己を客観的に見つめなおし、気づきを得ることがプロセスとして重要です。

    そのため、企業や人事担当者は、アンラーニングが行いやすいような環境を整えることが必要です。

    ここでは、アンラーニングの具体例として、「越境学習」と「コーチング」を取り入れた事例を紹介します。

    越境学習を取り入れた事例

    越境学習は、普段所属している会社や組織から離れて、新しい環境に身を置き学ぶことで新しい気づきを得ます。日頃馴染んだ場所からあえて離れ、異なる環境で学ぶ「越境学習」は、アンラーニングに効果的です。

    越境学習は、ワーケーションやボランティア活動、異業種勉強会、副業などさまざまです。異なる価値観を持つ人との交流で多角的な視点を持ち、自身の目標や進むべき未来を模索することに繋がります。

    越境学習で得た学びにより、自身がとらわれている固定観念や価値観の認知ができるようになります。

    なお、アンラーニングの実践には、CO-MITの越境学習プログラムが最適です。非日常の中で、さまざまな人との交流や体験を通し、新しい価値観に触れることができます。アンラーニングを効果的に進める上で役に立つでしょう。

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    越境学習とは?具体的な5つの方法や注目を集めている背景を徹底解説

    コーチングを取り入れた事例

    コーチングの活用も、アンラーニングに効果的な手段です。

    アンラーニングにはリフレクション(内省)が必要ですが、自身のことに対する気づきは簡単にできるものではありません。

    そのため、アンラーニングの内省にあたっては、コーチングでフィードバックをする人がいることで進めやすくなります。 コーチングはコーチが相手に問いかけることで、内面にある答えを引き出すため内省を促すのに効果的です。

    また、アンラーニングで効果を出すためには、かなりの時間を要します。コーチングにより、継続的な内省や学びを持ち続けることがアンラーニングの成果に繋がります。

    アンラーニングの実践にはCO-MITの越境学習もおすすめできる

    引用元:CO-MIT公式HP

    企業がアンラーニングを推進していく過程では、新たな学びの場を提供することが必要です。

    また、従業員のアンラーニングを効果的に進めるためには、人材育成担当者が積極的に働きかけていくことが求められます。

    越境学習の事例にもあるように、従業員に新たな知見を得る場が必要です。CO-MITの越境学習プログラムなら、異なる価値観を持つ人との交流を通し、新たな気づきや視野を広げる学びをもたらすことが可能です。

    越境学習で得た経験はアンラーニングに高い効果を発揮できるでしょう。従業員の意識改革やスキルアップにも繋がるため、プログラムとして最適です。

    CO-MITの公式サイトでは、目的別に内容が明記されているので、従業員の成長に繋がる最適なプログラムが見つかるでしょう。

    アンラーニングの人材育成で研修を検討している方は、CO-MITをぜひチェックしてみてください。

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    まとめ

    アンラーニングは、変化していく時代に企業と人が柔軟に対応していくために欠かせない概念です。

    アンラーニングを効果的に進めるためには、実施しやすいような仕組みや柔軟性のある組織風土を作ることが必要です。

    研修や実践の学びの場を検討する際は、越境学習が有効です。越境学習の実践により、従業員は多角的な視点を持ち、自分をアップデートさせる手がかりを見つけることができるでしょう。

    アンラーニングを実践したいけれど、具体的にどのようなことをすればよいのかわからないと言った方は、CO-MITのプログラムをチェックしてみてください。

    CO-MITでは、目的に合わせて最適なプログラムを用意しています。これから、アンラーニングの実践や研修を検討している方は、CO-MITの越境学習やワーケーションのプログラムをご検討ください。

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