「2020年4月入社の新入社員」に対し研修企画担当者が考えておくべきこととは? – 年代の考え方と対応ポイント

2020.1.20

「2020年4月入社の新入社員」に対し研修企画担当者が考えておくべきこととは? – 年代の考え方と対応ポイント

新入社員研修の時代の移り変わり

新卒採用している企業様において、入社後の教育研修の手配、準備に頭を抱えているご担当者も多い時期ではないでしょうか。

ちなみに、転職組である私も20年以上遡って自分自身を振り返ると、新卒で入社した企業において1ヶ月ほど本社で集合研修を受講する、というカリキュラムの中で、2泊3日で同期と共に参加する合宿研修も経験しました。
慣れないことも多々あり恥ずかしい思いもしましたが、今でもつながりのある新卒時代での同期との集まりでは、参加人数の割りにはお風呂が狭すぎて大混雑した、出てきた食事がかなり口に合わなかった等、いまだに当時の話で盛り上がるくらい、新卒時代における教育研修というのは本人にとって印象に残る大事なものだと感じています。

 したがって、ご担当者におかれましては、作業的に教育研修に対応するのではなく、
本人達の将来をつくる大事なイベントであり、一生の思い出を作るサポートをしている、という気概を持って企画立案や実行していただきたいものです。
そのためにも、年々変化していく若者の思想的な傾向をつかんだ上で、企画立案等を行っていくことが大事だと思いましたので、2019年の年末に「忘年会に行きたくない」というタイトルでSNS内にいくつか記事になっていた件から考えられる令和時代における若手日本人の勤労感を個人的な私見にはなりますが共有させていただき、より良い研修企画につながるきっかけを作ることができればと思っています。

□「お金を支払ってまで忘年会に参加したくない」
□「上司の話を忘年会でまで聞きたくない」
□「家でゲームをしていたほうがまし」

というものが多数で、多くは若者の意見です。

私より年齢が上の方や、経営者や管理職の意見は
「普段なかなか忙しいので、せめてこういう機会に交流を深めて仕事に活かしていってもらいたい、自分たちもそうしてきた」
「年上の管理職の話を聞かないのは、若手としては成長チャンスを逃すことになり、もったいない」
「社内の一体感を出すためには当然参加するべきで、特に若手は参加したくないと思っていても、その気持ちを堂々と周囲に発信するということはあり得ない」
というものが多く、私も同感です。

ただし、労働法的な感覚からすると、忘年会に参加したくない、という考え方は時代の流れかもしれないな、とも思います。
その理由は次の質問が増えているからです。

労働時間の質問で最近増えてきているもの

 「お客様との会食について、若手社員が残業代の申請をしてきたのですが、どう対応したらよいですか」というものです。
お客様との会食が労働時間などというのは、私は考えたこともなく、どちらかと言えばラッキーな機会だと捉え、残業申請よりは経費申請に工夫をしていたことを思い出しますが、現在の若者の労働感は当時とは違い、かなり変わってきていることが想定されます。

①会社は仕事をして給料をもらうところであり、それ以上でもそれ以下でもない
②仕事に関係の無い行事や食事は賃金が発生しない限り付き合う必要はない
という考えで仕事をしていることが分かります。

この2つのことから今後起きると予想しているのは、次のようなことだと思います。

①サービス残業を一切許さず、躊躇なく退職後請求する。直接申し出にくい場合は退職代行を使って。
②仕事の範囲を明確にしない会社・仕事を評価しない会社については不満がたまり退職する。
だからといって、仕事範囲や評価を明確にしたところで、もぐらたたきのように別の不満が出てくるのでは。
③入社時に明確に説明を受けていない(例えば転勤、職種、職場変更)ことについては拒否をしてやらない・もしくはトラブルが起きる。いくら入社時に細かく説明したところで、その後の時代や環境の変化で想定外なことが出てくるのが世の常なのに。

対応ポイント

①については、厳密な労働時間管理から中小企業においても逃れられないと思います。
2020年の民法改正により、未払残業問題はますます注目を浴びる時代に突入しますので、これを機に正しく対応していない企業の中には、未払残業代倒産、ということもあり得ると思います。

②については、何らかの人事評価制度を設けないと若者の離職者が続出するということになります。
お客様との会合参加について加点ポイント、といった設定をする必要が出てくるかもしれません。
また、人事評価制度で構築しているツールを使って、こまめに面談や対話する場をつくり、教育しつつも、ガス抜きのような場として愚痴や不平不満も聞いてあげる、ということが大事だと思います。

③については、入社時の説明や契約内容が非常に重要になるということになります。
よくある問題は、説明しているのに本人は聞いていない、と主張してくることです。
都合が悪いことはひょっとすると聞いていない、と言っているだけのケースもあり得るかもしれません。
説明内容を録音して保管しておく、ということは非効率的ですので、実務的には、私が経験した例だと、携帯電話ショップで契約する時に、説明を受けた内容に☑️マークを入れていきました。
これだと、後で聞いていない、と主張する気持ちが出て気にくくなりますし、説明を聞く側も自己責任を問われているという点を強く感じますので、良い仕組みだと思っています。

研修企画担当者が考えるべきこと

上記の内容を踏まえ、次のような対策をされてはいかがでしょうか。

1)新卒だけでなく、中途採用者に対しても入社時の説明で、教育研修に参加してもらうことがあり得ることを伝える。
日帰りだけではなく、宿泊を伴う研修もあり得る旨、を口頭で伝えるだけではなく、場合によっては入社時に取り交わす契約書にその内容を記載しておき、本人が聞いたことを証明する☑️を記載する仕組みを構築しておく。

2)研修は面倒くさい行事ではない、ということを理解してもらうために、研修実施の目的をしっかりと伝えること。
自分の成長につながる大事な行事であることを伝えるフレーズやツールを明確に構築しておく。

3)特に新卒向けの研修を企画する場合は具体的な業務内容を詰め込むだけではなく自分の人生を考えるような内容を組み込んでおく。
例えば、将来どのような状態になっておきたいか、何歳の時点で何を手に入れている状態になりたいか、といった目標設定を楽しく行い、個人の目標の達成に向けたステージが会社には存在する、といった仕事とプライベートをつなげることを意識したカリキュラムを考える。

また、私の経験から新卒で受けた研修は印象に残りますので、良い内容を企画するのはもちろんのこと、研修場所にも気を使われた方が良いと思います。
設備がとても綺麗、周囲の景色がとても綺麗でインスタ映えしそうな写真が撮影できそう、食べ物がびっくりするくらい美味しい、施設側の接客がとても美しい、場合によっては施設側のご担当者と打ち合わせの上、研修参加者へのお出迎えに一工夫をしておく等、作業的に考えていくのではなく、参加者の将来のためにといった気持ちを込めた対応をされてはいかがでしょうか。

ちなみに、私の新卒時に教育してくださった人事課長○○さんが言われていたフレーズは今でも私の土台となっています。

このフレーズをご紹介して今回は終わりとさせていただきます。

「社会人になると、やらなければならないことが増えて大変だと思うが、学生を卒業し一度社会人になると社会人は死ぬまで辞められない。とすれば、どうせやらなければならないのであれば、物の見方・考え方を少し変えて、今後やることができるようになる、と捉えて取り組んでいこう!」

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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