2025年卒採用の本格化に向けて知っておくべき「従業員の本音」について

2024.5.13

2025年卒採用の本格化に向けて知っておくべき「従業員の本音」について

暖かいゴールデンウィークも終わり、正式な医学用語ではありませんが一般的に言われている「5月病」も乗り越えた時期かと思います。
中には、5月病で調子を崩した新入社員の対応で困っている、あるいは連休明けに退職の申し出があった、といった企業様もおありかもしれません。
特に、入社してすぐ退職されると企業側としてはなかなか痛いものだと思います。

ちなみに、私の長女(2024年4月で大学4回生)は、建築士になりたい、という希望を元に、希望業界から内定を複数いただくことができました。
その中で、どこの会社に行くべきか本当に悩んでいました。2社には絞り込めましたが、その2社が対照的で、1社は、給料は高く賞与も年3回、業界的には珍しい土日休みの部署への配属、でもマンションの設計がメイン。もう1社は、給料はそこそこ高いが平日休み、でも本人がやりたい住宅の設計がメイン。
要するに、待遇は良いが業務内容が少し希望とは違う、待遇はそこそこだが業務内容が希望通り。この2つがぶつかりあった状態で、私も長女から相談されました。まずお伝えしたのは、転職が当たり前の時代のように写っているかもしれないが、新卒で入った企業には最低でも3年は在籍しないと、今どきのZ世代で嫌ならすぐに辞める人、とレッテルを貼られるから、まずは社会的信用を落とさないためにも3年間は勤務できそうなイメージが強い方を選択するようにと、伝えました。
人間は同じことを繰り返す生き物だと個人的に思っているところもあり、新卒で入った会社を3年は勤務していた場合と1、2年で退職した場合とでは、その後の職業観が変わると思ったからです。
あと、もう一点伝えたのは、どの会社に行っても、待遇に違いがあるものの、業務内容に違いはほぼ無い、と思った方が良い。
どの会社でも仕事では、上司・先輩・同僚・後輩・お客様・仕入れ先に対して、期待に応えることを日々することであり、日々の作業レベルで言うと超一流と言われている企業でも中小企業でも同じ。その中で、「その会社に残る理由」を自分なりに作る、見つけること。これがないと辛いことがあるとすぐに心が折れてしまうから、ということもお伝えしました。

会社に残る理由を会社は把握しているか?

「その会社に残る理由」を皆さんお持ちですか。。。。例えば、待遇が良いから、自分のやりたいことができているから、働いている人が良い人が多く居心地が悪く無いから、◯◯さんがいるから、等々。。。

色々な採用活動があると思いますが、「自社に残って働いている理由」を社内メンバーで聞いても問題なさそうな方々にヒアリングし、それを整理しておくことで、その内容を面接の際に面接官が伝えたり、インターンで学生を迎えた時にも、事あるごとに発信することで、悩める学生を自社に呼び込めることにつながるのでは、と思っていますので、こちらお試しいただければと思います。なぜなら、待遇や労働条件は面接担当者からするとどうすることもできない会社決定事項なので、あとは「自社に残って働いている理由」をいかに魅力的に発信することができるかが担当者の腕の見せ所になると思うからです。
少々前置きが長くなりましたが、今回は新卒採用に向けての本音の情報を共有いたします。

入社直後と入社1年半の若者の本音

公益社団法人全国求人情報協会の「入社1年半時点の就業意識の実態調査」の結果から入社1年半経過時点での新卒社員の転職意向について共有します。
なお、この調査は2022年3月末に大学または大学院を卒業・修了後、2022年4月から民間企業に正社員として就職し、現在の職業が民間企業で正社員・契約社員・派遣社員、もしくは公務員である者 766人を対象に実施されたもので、調査時期は2023年11月となっています。

まず入社直後(2022年4月)と入社1年半時点(2023年10月)の転職意向についての変化は以下のようになっており、入社1年間時点での「転職意向あり」が過半数を超えています。

転職意向あり 29.3% → 52.4%
転職意向なし 70.7% → 47.6%

※それ以前に入社1年半時点での「転職者」は14.3%、「勤続者」は85.7%となっており、1年半で約15%が退職していることも明らかになっています。
この状況を分析するためには、(1)入社時点において既に転職意向を持っている従業員の存在と、(2)その後の転職意向を高める要因の2つを検証する必要があるでしょう。

(1)入社時点において既に転職意向を持っている従業員の存在

「心から入社したいと思える企業・団体等に入社を決めることができた」という設問で、42.0%が「あてはまる」と回答していますが、その回答をした内の4.3%は「入社直後から転職活動」をしており、18.3%も「転職を検討していた」と回答しています。まずは入社したいと思った会社で成長し、成果を残すと考えるのではなく、初めから転職という選択肢を検討しているという者が22.6%もあるというのは驚きです。ですが、私の長女(大学4回生)の友人も、現段階で「入社して1年で辞めるつもり」とまだ入社していないにも関わらず言っていましたので、ずっと勤続するつもり、というより、いつでも辞めるつもり、と言うことが流行っている?イケてる?という流れなのかも、と思ったりしております。

(2)入社後の転職意向を高める要因

入社前の想定と比べた入社後のギャップは転職の大きなきっかけとなりますが、勤続者と転職者で特にそのギャップが大きい項目は以下のようになっています。当たり前の内容が並んでいますが、改めてこうしたギャップを小さくする取り組みを行い、安心して自社で継続勤務してもらえる環境の整備を進めましょう。

• 勤務時間
• 上司の能力や資質
• 仕事から得られる成長機会
• 仕事から得られる達成感
• 担当する仕事内容
• 働く上での評価の仕組み
• 会社の事業法人・ビジョン
• 上司との人間関係

これって、若者に限らず、という内容だとは思いますね。

参考:入社1年半時点の就業意識の実態調査(2024/3/29)|公益社団法人全国求人情報協会
   ​https://www.zenkyukyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2024/03/a13e93387b0da1a2d3f8d1c73f5df8ef.pdf

本当の本音は出てこない

パーソル総合研究所が先日、企業が直面するコミュニケーションの問題を解決し、従業員が互いの本音で話し合える健全な職場環境を構築するための示唆を得ることを目的に、職場内での対話的なコミュニケーションの実態やその影響、本音・本心で話せない要因・話せる要因を定量的に明らかにした「職場の対話に関する定量調査」(全国の男女・正規雇用就業者(20-60歳)N=6,000)の結果を発表しました。

今回はその中の「職場内コミュニケーションの実態」部分の結果をご紹介します。

<以下、調査サマリより引用>

1.職場での会話機会のうち、本音で話せている割合を算出すると、上司との面談で51.2%、チーム内の会議で52.1%が、2割未満と回答。過半数以上の従業員が、上司面談・会議において本音・本心をほとんど話していない。

2.本音で話せる相手は、職場内に「1人もいない」が50.8%で、他の選択肢と比べ圧倒的に高くなった。「同年代の同僚」が25.6%、性別・年齢は「同年代の同性」が43.6%。

3.職位によって、職場の「対話」についての認識ギャップが極めて大きい。一般社員・従業員はあまり本音を出せていないと感じているが、事業部長層や役員などの上位役職者は、職場メンバーも自分自身も本音で話せていると感じている傾向が強い。

今回の定量調査は、「過半数の従業員が本音を話していない」という、人事関係者にとっては看過できない結果を示しました。この結果から、定期面談や1on1などの施策で対話の場を設けていたとしても、施策本来の重要な目的を果たせないままに終わっている可能性も十分に考えられます。

また、この調査は、従業員が本音を話せなくなる原因となる6つの「リスク意識」を洗い出し、性年代別に特に影響が大きいリスク意識の傾向についても明らかにしているほか、リーダー層への研修のみでこうしたリスク要因を排除することは難しく、対話や傾聴の重要性・ポイントをメンバー層にも伝え、関心を高めることが必要だと指摘しています。

このように、今回の「職場での対話に関する定量調査」は、人事管理に係る諸施策の企画や運用に携わっている方にとっては、重要な結果が示された充実した内容になっています。以下参考リンクより調査レポートのサマリおよび全文が読めますので、ぜひチェックしていただきたいと思います。

参考:職場での対話に関する定量調査(2024/3/29)|パーソル総合研究所
   https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/dialogue-culture.html

まとめ

いつの時代でも、本音を100%さらけ出すのは難しいもの。だからと言って、当たり障りのない上辺だけだと、問題勃発時には手遅れに=退職、という流れだと思います。
普通のことをしていてもなかなか採用できませんので、ここは一発大勝負ということで、就活の学生がいる前で学生がびっくりするレベルでの本音の会話を採用担当の上司・部下間であえて実施し、うちの会社はいつも本音のやり取りウエルカムな風通しの良い会社なんです、といったやり取りもアリかもしれませんね。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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