人事担当者が知っておくべき「オフボーディング」とは?アルムナイネットワークの活用と定年延長が新たな鍵に

2024.10.22

人事担当者が知っておくべき「オフボーディング」とは?アルムナイネットワークの活用と定年延長が新たな鍵に
みなさん、こんにちは。
かなり長引いた猛暑の夏もようやく峠を越しました。できれば過ごしやすい秋も長引いてもらいたいものですね。
春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)ではなく、春・夏・夏・夏・秋・冬(しゅんかかかしゅうとう)になっていると個人的には感じておりますが、皆様はどのような感覚でしょうか。

話は変わりますが、私が卒業した高校の同期同窓会を5年に1回、秋の11月に開催しています。その代表幹事をしているのですが、今年の11月が5年に1回の同窓会でして、ご高齢になられている先生方にも参加しやすい気候になりそうなので、ホッとしながらもドタバタしている最中です。

さて、2024年度の最低賃金もアップし、人を雇用することの難しさがますます高まっている中で、せっかく採用できてもすぐに退職されるとそれまでの時間と労力、コストが無駄になるために、オンボーディングが大事だと言われています。

オンボーディングとは、中途入社者を含めた新入社員を早期に戦力化するための施策のことで、業務プロセスを理解するのに必要な情報をポータルサイトにまとめたり、同僚や上司などと定期的に面談して相談や悩みごとを話す機会を設けたりするなど、人事と配属先の部署などが一体かつ継続的にサポートし、定着も図っている施策のこととなります。

今回はこのオンボーディングとは逆のオフボーディング、という発想やフレーズをご紹介させていただきます。
初めてこのフレーズを知る方もいらっしゃると思いますが、その内容から人材の定着や採用力の向上に繋げてもらえればと思います。

オフボーディングとは?

まずオフボーディングとは何か、について簡単に言いますと、従業員が企業を退職する際に行う一連の手続きやプロセスのことを指します。

これまでの日本企業では、オフボーディングは主に退職者の引き継ぎや事務的手続きに重きを置かれがちでしたが、近年ではより戦略的な視点が求められています。

特に、定年延長やアルムナイネットワークの活用が新しいカギとして注目されており、これらを組み合わせることで企業と退職者の双方にとって大きなメリットを生み出すことができます。

オフボーディングの新しい視点①:アルムナイネットワークの活用

オフボーディングのもう一つの新たな視点は、アルムナイネットワークの活用、と言われています。

アルムナイってナンダイ?って感じかもしれません。アルムナイとは英語で「卒業生」「同窓生」という意味でして、語源はラテン語で母校を意味するアルマ・マーテル、という言葉のようです。
企業を退職した元従業員を指し、近年、企業とアルムナイとの関係構築が注目されています。

これまで、日本では退職者との関係は薄くなりがちでしたが、グローバルなビジネス環境においては、アルムナイが新たなビジネスチャンスや人材紹介、ブランド向上に寄与することが広く認識され始めています。

アルムナイネットワークをうまく活用するためには、オフボーディングプロセスで退職者との良好な関係を構築することが重要です。

これには、以下のような取り組みが考えられます。

1.退職後のキャリア支援

オフボーディング時に、退職者に対してキャリア支援を提供することが、アルムナイとしての関係を強化する第一歩です。

例えば、定年延長後に新たなキャリアに挑戦するための現役時におけるスキルアップ支援や、ビジネスネットワーク構築のサポートを行うことで、退職者が企業に対して感謝や信頼を持つようになります。

2.アルムナイコミュニティの構築

退職者が企業とつながり続けるためのプラットフォームを提供することも有効です。

例えば、定期的なアルムナイ向けのイベントや、オンラインコミュニティの運営を通じて、退職者同士のネットワーキングを促進し、企業の発展にも貢献してもらう機会を創出します。

特に、定年延長で長く勤めた従業員が持つ深い知識や業界でのネットワークは、アルムナイとしての活動において非常に有益です。

冒頭で同窓会代表幹事をしている、と申しましたが、高校の同窓生約500名のうち約200名程しかSNS上では繋がっておらず、残りの300名ほどに対して情報を伝えきることの難しさを感じておりますので、このプラットフォーム構築と参画が大事なポイントだと思います。

3.リターン採用の促進

アルムナイネットワークを通じて、優秀な人材が再び企業に戻ってくるケースも増えています。一度退職した人材が、再雇用されることで、企業に新たな視点や価値をもたらすことが期待できます。
オフボーディング時に、将来的なリターン採用を視野に入れた関係構築が、今後ますます重要になるでしょう。

ただ、退職する際に会社と少し感情的な問題を抱えながら退職した方は本人側からも会社側もリターン採用に至ら無いことはあるとは思います。

オフボーディングの新しい視点②:定年延長

近年、日本の多くの企業が定年年齢を延長する傾向にあります。少子高齢化が進行する中で、優秀な人材の確保が難しくなる一方で、高いスキルと豊富な経験を持つ高齢者の活用が注目されています。

定年延長によって、60歳を超えても働き続ける選択肢が広がり、企業側もその知識や経験を長期的に活用できるようになります。
個人差はありますが、60歳ってまだまだ若いですよね。。。
ちなみに弊社では定年はありません。働きたいだけ働ける制度にはしておりまして、最高齢は56歳。あと10年後くらいからどうなるか、楽しみにしております。

あと、定年延長が進む一方で、オフボーディングの重要性はさらに増しています。従来の定年退職では、60歳で退職する従業員に対する手続きが明確に定められていましたが、定年延長により退職時期が柔軟になり、オフボーディングのプロセスも多様化しています。

例えば、再雇用制度を利用して働き続ける場合でも、一定のタイミングで退職を選ぶことがあり、その際に適切な引き継ぎや退職後のキャリア支援が求められます。

企業は、定年延長後の従業員に対しても、円滑なオフボーディングを行うことで、退職後の活躍を支援できるような体制を整える必要があります。特に、退職後のアルムナイネットワークとの連携が、新たなキャリア形成や企業への貢献を促進する手段として有効です。

企業と従業員のメリットを最大化させる定年延長とアルムナイの統合的アプローチ

オフボーディングを単なる退職手続きと捉えるのではなく、定年延長とアルムナイネットワークという視点を統合することで、企業と従業員の双方にとってのメリットを最大化できると思っています。

定年延長によって長く働き続ける従業員の知識やスキルを引き継ぎ、同時に退職後もアルムナイとして企業とつながり続ける仕組みを整えることが、人材不足、採用難、少子化がますます進む中で、今後の企業経営においてますます重要です。

オフボーディングは、企業と従業員の長期的な関係を築くための重要なステップであり、これを戦略的に捉えることが、持続可能な成長を実現する鍵となるでしょう。

まとめ

簡単に言いますと、退職者を雑に扱わずに、今後も同窓生として一生繋がり続ける同士として会社が対応し続け、いざという時に、再度会社を助けてもらえる関係性を構築しておくことが大事であり、そのような考え方を自社が重んじている、ということを従業員に強く発信することにより、従業員側も変な辞め方をしないように注意し、会社側も関係性の維持を考えながら退職時に接する風土が、在職者にも良い影響を及ぼすものだと思っています。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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