人事担当者が知っておくべき「今後の人事労務関連の法律改正」と「求められる人材育成」について

最終更新日 2026.2.2 公開日 2026.2.3

人事担当者が知っておくべき「今後の人事労務関連の法律改正」と「求められる人材育成」について
こんにちは。3月末の決算期も前に、今期の締めくくりと来期の計画づくり等でドタバタする時期に突入しましたね。弊社は9月末決算で、この時期は上半期の進捗チェックとして、関係者と面談や打ち合わせの多い時期となっています。

昔は面談や打ち合わせ等を実施する際にこれまでは議事録をパソコンでぱちぱちと作成していましたが、最近では録音し、その音声データを外部に漏れないセキュリティ内でAIに読み込ませ、精度の高い議事録が一瞬で出来上がっております。AI運用ルールと運用チェックがポイントですが、AIの進化が凄まじく、社内で使うAIもコロコロ変わっているのが実情です。

さて、今回は2026年以降の人事労務に関する法律改正を見据えた内容と、改正を踏まえて求められる人材育成についての基本的な考え方をお伝えしたいと思います。

労働時間管理の見直し

2026年に向けた最大のテーマの一つが、労働基準法に関連する労働時間管理の見直しです。直近の国会審議にかけられるかどうか、とビクビクしながら見守っていましたが、延期されてホッとしたものの今後の方向性として準備をしておく必要があると考えています。

ちなみに現在議論されている内容には、「勤務間インターバル制度の実効性確保」や「連続勤務日数の上限設定」などが含まれます。これらは従業員の健康を守るために議論されている内容ですが、実務においては管理職の意識改革なしには達成できないと思っています。

さらに注目すべきは、業務時間外の連絡に関する配慮、いわゆる「つながらない権利」の法制化が検討されているということです。これが導入されれば、帰宅後や休日の従業員への連絡が制限されることになり、意識改革できない方からすると、イライラすることが増えることになり、新たな人間関係のトラブル発生原因になると想定しています。

求められる人材育成:タイムマネジメント能力と自律性の向上

この法改正に対応するためには、管理職に対して「時間を投入して成果を出す」という古い価値観からの脱却を促す教育が不可欠だと考えています。

1. 業務時間外連絡に依存しない業務設計力

管理職は、部下に業務時間外の連絡をしないでも業務が回るよう、事前の指示出しや業務プロセスの標準化を行うスキルが求められます。これは単なるマナー研修ではなく、業務効率化とセットになった実践的なトレーニングである必要があります。

2. 部下の自律性を育むコーチング

指示待ちの部下が多い組織では、上司は常に連絡を取り続けなければなりません。勤務間インターバルや休日の確保を徹底するためには、部下が自律的に判断し動けるよう、権限委譲を進めるスキルが管理職に必須だと思います。

ハラスメント対策の義務付け

2025年頃から本格的に社会問題化している「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について、企業に対策を義務付ける法改正が予定されています。相談窓口の設置や手順の明確化に加え、「従業員への周知・教育」が明記されており、人材育成が法的義務の一部となる方向です。

また、内部通報制度(公益通報者保護制度)の強化も進められており、通報対象者の範囲拡大や体制整備が求められています。

求められる人材育成:精神的回復力と倫理観の向上

法的な「仕組み」を作るだけでは、ハラスメントの被害は防げず、不正も隠蔽されかねません。「魂」を入れるための教育が必要です。

1. カスハラ対応における「守りのスキル」

従業員への教育として、理不尽な要求に対する具体的な対応手順の習得はもちろんですが、精神的なダメージを最小限に抑えるためのレジリエンス(精神的回復力)トレーニングが重要だと考えています。なんでもかんでも社内でパワハラだと言う従業員はお客様とのやり取りでもすぐにカスハラだ、と会社に申し出てくる可能性があります。

社内外問わず、日頃から仕事とは少々無理難題、矛盾していると感じる局面に立ち向かっていくことがあり、それを乗り越えることで成長に繋がり、ビジネスパーソンとしても一個人としてもステップアップしていけるんだよ、だから頑張ろう、ただし、一人で抱え込む必要はないので、違和感のあるお客様からのプレッシャーがあれば教えてね、といった感じで先輩・上司も自分を守ってくれている、ということを実感させてあげることが大事だと思っています。

また、「どこまでが許容範囲で、どこからが組織として断るべきか」という判断基準の設定と共有により、心理的な安全性を確保することができるかどうか、が重要なことだと思います。

2. 「声を上げる」文化の醸成

内部通報制度を機能させるには、「形だけでない制度運用」が重要です。そのためには、小さな違和感を安心して共有できる「心理的安全性」の高いチーム作りをリーダー層に教育する必要があります。コンプライアンス研修を単なる知識伝達で終わらせず、倫理的なジレンマを扱うケーススタディなどを通じて、組織全体の倫理観を底上げすることが求められると思います。

多様な人材の活用と安全配慮

2026年に向けては、雇用形態や属性を超えた多様な人材の活用が法的にも強く要請されます。

まず、労働安全衛生法の改正により、フリーランスや個人事業者も安全配慮の対象となります。「雇用していないから関係ない」という理屈は通用しなくなり、業務委託先を含めた安全管理体制が求められます。

次に、障害者雇用率の段階的な引き上げや、女性活躍推進法改正による男女間賃金差異・管理職比率の公表強化、さらには高年齢者雇用における年金制度の見直しに伴う賃金設計の変更など、対応すべき領域は広範です。

求められる人材育成:偏見のない判断力の養成

多様な人材が混在する組織をまとめるためには、これまで以上に高度なマネジメント能力が要求されます。

1. 「雇用によらない」チームの安全管理

フリーランスを含むチームをマネジメントする際、指揮命令系統が曖昧になりがちですが、安全配慮義務は発生します。プロジェクトマネージャー等に対し、雇用関係の有無にかかわらず、現場で働くすべての人々の安全を守るためのリーダーシップ教育が必要です。これには、法的な留意点と、パートナーとしての信頼関係構築の双方が含まれます。

2. データに基づく対話力と説明責任

女性の賃金差異や管理職比率の公表は、単なる数字の開示にとどまらず、その背景を「社内で説明ができる体制づくり」が求められます。人事担当者や管理職は、なぜ格差が生まれているのかをデータに基づいて分析し、改善策を従業員に説明する「データリテラシー」と「対話力」を養う必要があります。

3. シニア人材の活性化とキャリア再設計

在職老齢年金制度の見直しなどは、再雇用者のモチベーションに直結します。人事制度の変更を一方的に通達するのではなく、シニア社員が自身の経験を活かしつつ、組織にどう貢献できるかを共に考える「キャリアデザイン研修」や、新しい役割に適応するためのリスキリング(学び直し)の機会提供が重要です。

まとめ

2025年の出生数が2024年比較で3%減少している中、近い将来ではAIやロボットを活用した少数精鋭環境でも生産性を上げていける体制を作った企業が残り続けることは間違いないと確信しています。

ただ、そこに至るまでの今年度は上記の切り口を踏まえ、社内メンバーを活性化させ取り組んでいくしかありません。弊社も日々問題だらけですが、それを乗り越えるプロセスで改善が進んでいくことを実感しておりますので、皆さんと共に、我々も希望を持って取り組んでいきますのでよろしくお願いします!

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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