従業員のキャリア支援と組織の発展に欠かせないキーワードとは?~本年度こそはリスキリングや学び直し、副業を制度化しよう!~ 2024.3.25 人事・総務向け 労務管理 生産性UP 計画・準備 3月の別れの時期も乗り越え、4月から新年度もスタートし、新天地で気持ち新たに、とドキドキ・ワクワクの間で揺れ動いている方も多いのではないでしょうか。 私の個人的な話をしますと、3人の子供も大学4年、大学2年、中学1年となり、特に小学6年→中学1年になることで親としての手間暇面での負担が軽減されるので、この4月から「新たに学ぼう」と思い、現在色々と情報を集めているところです。候補としては寿司職人かカジノディーラーの学校へ行き、大阪万博で副業的に新しいことができたら面白いかも、と思っている次第ですが、まだまだ何になるかわかりません。決まりましたらお知らせします。 さて今回はまず、「リスキリング」「学び直し」についての調査結果を共有します。 目次 企業・団体を対象とした”学び直し”の支援の調査結果 副業実施者の特徴や副業の満足度分析の調査結果 人事担当者が考えるポイント まとめ 企業・団体を対象とした”学び直し”の支援の調査結果 学情が、企業・団体の人事担当者を対象に、学び直しの支援について、企業の取り組み状況を調査しました。まずはこの調査結果をお伝えします。 参考:「学び直し」に関する企業調査(2024/2/9)|株式会社学情 https://service.gakujo.ne.jp/wp-content/uploads/2024/02/240209-comenq.pdf 同調査に回答があった企業のうち、まず、社員のスキルアップ、学び直しの取り組みについて「実施している」との回答が 69.1%に上ったということです。また、社員のスキルアップ、学び直しのために実施していること(複数回答可)についての回答結果は、以下のとおり「リスキリング手当の支給」が 最多で、次に「書籍の購入補助」「資格取得支援」と続いています。 リスキリング手当の支給 28.4% 書籍の購入補助 24.2% 資格取得支援 14.0% eラーニングの導入 12.9% 社内研修の実施 11.7% 社外研修の活用 9.5% その他 31.4% 多くの企業が何等かの取り組みを行っていることがわかりますが、 一方で、内閣府の資料(「令和4年度 年次経済財政報告」)によれば、仕事に関連する社会人学習への参加率をOECD加盟国間で比較すると、日本は特に勤務先の費用負担がある学習への参加率が諸外国に比べて低く、OECD平均を下回っていることが指摘されています。日本における学び直しにおける企業側の主要な課題としては「指導する人材や時間の不足」が、労働者側は「時間・費用負担等」が挙げられたということです。 社会保険労務士をしている私がもし企業の人事総務担当として勤務している時に「寿司職人」や「カジノディーラー」の学校で新たなスキルを磨きたい。 仕事に関係なさそうで実はとても本業の生産性向上につながるから是非費用補助をお願いしたいです、というような申し出があった場合にどうすべきか。 最近の相談で多いのが、資格取得の費用を会社が出したものの、すぐに退職されたら困るので、会社が費用を補助し、◯年以内に退職する場合は会社が負担したお金を返してもらいたいができるのか、というものです。 結論から簡単に言いますと、本人の自由意思で資格を取得する際に、「貸付金」を会社から借り、◯年以内に退職する場合はお借りしているお金をお返しします、というやり方は、有り、となります。 逆に、会社側から本人に対して、◯◯の資格を取るように、と指示し、その取得に必要となる費用を会社が負担した金額分を返却するように、と本人の意思ではないのに資格取得を迫られた、あるいは、誰もお金を貸してくれと言っていないのに、会社側が従業員の在籍を条件とした貸付を無理やり行う、というやり方はNGとなります。 詳細について知りたい方はお問い合わせください。 MIRACREATION株式会社:https://miracreation.co.jp/contact 副業実施者の特徴や副業の満足度分析の調査結果 次に、学び直し、リスキリング、として勉学を行うだけでなく、実践を通じて新たなことを身につける、という副業的な習得方法の方がお金をいただく分、真剣に取り組まないとクレームになる、という緊張感から学びの本気度や習得状況も期待できると思っています。 そこで、次は副業実施率が10%にも満たさず伸び悩んでいると言われている状況の中、リクルートが実施した「兼業・副業に関する動向調査 2022」から副業実施者の特徴や副業の満足度分析を行い、その結果内容を確認しておきます。 参考:副業実施者の動向調査|株式会社リクルート https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240123_work_01.pdf 副業実施者の方が未実施者と比較して本業への満足度が高く、副業実施者本人、および副業実施者の送り出し企業側の双方が、副業の経験が本業に還元できていると感じている傾向にあることが明らかになったということです。また、副業実施者のキャリア観を見ると、副業非実施者と比べ自身のキャリアに対する関心が高く、自身のキャリアを検討する際の選択肢の一つとして、副業という手段をとらえているということが見て取れるとしています。 今回の調査は、副業が本業に与えるポジティブな影響を明らかにし、企業としても副業実施率を上げていく価値を具体的に示した点です。 また、自社内(縦の関係)での教育・指導だけでは教育する側の労力やレベル等が不足していることが良く言われています。したがって、副業という(横の関係)を容認し、そこで実際にお金ももらいながら新たなことを習得できる、というメリットを全面的に企業側が認めることが大事だと感じます。本業の満足度も高まる副業制度の導入は避けて通れなくなると思います。 人事担当者が考えるポイント ここからは新年度に入り、改めて人事担当者に考えてもらいたいポイントをお伝えします。 (1)年間カレンダーでやるべきことを整理し、逃げずにやり切る。 年間カレンダーを活用することで、キャリア開発や研修、評価、昇進・昇格のタイミングなど、人事イベントを計画的に管理することができます。例えば、年初にキャリア開発のための目標設定を行い、四半期ごとに進捗確認とフィードバックを行うスケジュールを設けることが考えられます。また、年末には従業員の成果と貢献度を評価し、昇進・昇格の検討を行うことで、従業員のモチベーション維持と公平な評価制度の実現が可能となります。年間カレンダーを効果的に活用することで、人事労務の業務を効率化し、従業員のキャリア支援を継続的に行う体制を整えることができます。 あと、なんだかんだ言いながら、会社に新たな制度を仕組み、ルールを導入することに取り組んでいるように見せかけながら、実はあまりやっていない、というご担当者も見受けられるような気がしています。 経営層から反対されそうだし、手間暇かかるし、ついつい後回しにしてしまいがちな社内制度構築。自分が苦労して制度導入した経験こそが市場価値が高まることだと考え、是非スケジュール設定したものはやり切ってもらいたいと思います。 (2)キャリア自律の促進 キャリア自律とは、従業員が自らのキャリアパスを考え、自律的に成長を目指すことです。人事労務担当者は、従業員が自らのキャリアを考え、計画し、実行できるよう支援することが求められます。このためには、従業員一人ひとりの興味や強み、キャリアの目標を把握し、それに応じた研修プログラムやキャリアアドバイザリーサービスを提供することが重要です。また、従業員が自分自身のキャリアに責任を持つ文化を醸成することも、キャリア自律の促進には不可欠です。 (3)言語化力の強化 言語化力とは、自己の考えや感情、経験などを的確に表現する力のことを指します。人事労務担当者は、従業員が自己のキャリアビジョンや成果、挑戦したいことを明確に伝えられるよう、コミュニケーションスキルの向上を促すべきです。これには、プレゼンテーション研修やフィードバックの技術を学ぶ機会を提供することが効果的です。また、定期的な1on1のミーティングを設けることで、従業員が自己の思いやキャリアプランを上司や人事担当者に対して言語化する機会を持てるようにすることが大切です。 まとめ 人事担当者にとって、「年間カレンダー」「キャリア自律」「言語化力」従業員のキャリアサポートと組織の発展を実現するための重要なキーワードです。 従業員が自らのキャリアを自律的に管理し、成長できる環境を整えること。そのためのコミュニケーション能力の向上を支援し、人事イベントを計画的に管理する年間カレンダーの作成と実践は人事労務の責任者として非常に重要な取り組みです。 世の中賃上げムードがますます進みます。賃金だけでない、企業の魅力を作るのが人事担当者の責務だと思いますので、どんどん会社というステージを活用して経験値を上げ、その実践内容を社内で伝えていくことで、説得力のある教育ができる人になれると思います。 下村 勝光(しもむら かつみつ) MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。 仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。 「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。 生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。 関連記事 >心理的安全性とキャリア安全性の向上が若手人材の定着を助ける理由 >キャリア自律の観点や新NISAの内容を含めた新入社員の教育内容について >【評価は個人や組織を促進する重要なツール?】改めて押さえておくべき育成や研修、評価について CO-MITでは、様々な目的から全国で研修・合宿施設の検索が行えます。 >研修合宿施設検索サイト「CO-MIT(コミット)」で施設検索する! また、ご希望の研修合宿を一括手配する「専門家に相談」サービスもご用意しております。 ホテルや研修センターをはじめ、全国のさまざまな施設と緊密に連携。研修や合宿の目的・日時・参加人数などを踏まえ、プロの視点から最適な施設および備品等の選定・提案・手配を進めます。 ぜひお気軽にご利用ください。 > 専門家に相談する! 記事一覧へ
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