研修を“やっただけ”で終わらせないための効果測定とは?

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研修を“やっただけ”で終わらせないための効果測定とは?
こんにちは。いよいよ新年度(4月)に向けた総決算を迎えている企業様も多い時期かと思います。

来期に向けた研修計画や社員育成策を考える上で、ついつい陥りがちなことは、実行策はあるものの、実行後のフォローや浸透度合いの確認をせず、やりっぱなし状態になることです。

人事担当者にとって、研修の企画・運営は多大な労力を要する大仕事です。ただ、果たしてその研修は効果があったのか、せっかく精魂込めて実施した研修も、やる意味があったのか、という役員幹部に突っ込まれないようにするために、人事担当者が実施しておくべき内容を整理してお伝えし、今後の計画や策を考えるヒントにしてもらいたいと思います。

なぜ「やりっぱなし」はダメなのか

「研修をやって満足」という状態は、人事部門がプロフェッショナルとして認められるための大きな壁です。やりっぱなし研修がもたらす弊害は、想像以上に深刻だと考えましょう。

1. リソースの浪費
講師謝礼、会場費、そして何より受講者の「工数(時間)」という膨大なコストがドブに捨てられることになります。

2. 現場の冷めた反応
「どうせ研修に行っても現場は変わらない」「人事が何かやっているだけだ」という冷めた空気が蔓延し、今後の教育施策への協力が得られにくくなります。

3. 人事の評価が下がる
経営層に対し、研修がどれだけ事業成長に貢献したかを数値で示せないため、今後の予算確保や提案が通りにくくなります。

「研修をやって満足」という状態から脱却することは、人事部門がプロフェッショナルとして認められるための最低条件なのです。

評価段階について

効果測定を語る上で避けて通れないのが「4段階評価」です。

段階1: 反応

目的:研修直後に実施するアンケートで、満足度や内容の妥当性を測定します。

落とし穴:「満足度が高い=良い研修」とは限りません。単なる「講師のトークが面白かった」という感想は、行動変容には繋がりません。

仕組み化のコツ:「満足しましたか?」ではなく、「この内容は業務に直結しますか?」「同僚に勧めたいですか?」といった、実用性と推奨意向を問う設問に変えます。

段階2: 学習

目的:研修を通じて、何が身についたのかを客観的に測定します。

仕組み化のコツ:研修前後の「事前テスト・事後テスト」の実施により、知識の伸びを可視化します。
したがって、「事前テスト・事後テスト」は同じ問題で良いと思います。また、レポート提出を求める際は「学んだことの要約」ではなく、「学んだことをどう活用するかというアクションプラン」を書かせることが重要です。

段階3: 行動

目的:研修で策定したアクションプランが実際の業務で実行されているかを測定します。ここが効果測定において最も重要かつ、多くの企業が挫折する段階です。

仕組み化のコツ:研修から1〜2ヶ月後に、本人および上司や同僚に対してアンケートやヒアリングを行います。「研修で決めたアクションプランを実行しているか」を多角的に評価します。したがって、できれば研修参加の前段階から上司や同僚に対し、協力を求めておくことが重要ですし、そういうものだ、という会社の基本パターンを作ることが大事だと考えます。

段階4: 結果

目的:最終的に、研修がビジネスの成果にどう繋がったかを測定します。(売上増、ミス率低減、離職率低下など)

仕組み化のコツ:研修以外の要因(市場環境など)も影響するため、厳密な測定は困難ですが、「研修受講グループと非受講グループの比較」を行うことで、傾向をつかむことができればベストです。

「やりっぱなし」を防ぐための4つの仕組み

効果測定を機能させるためには、研修の「後」だけでなく、「前」と「最中」の仕掛けが重要です。

1. 研修前の「期待値の握り」

効果測定は研修が始まる前に決まります。

受講者に対して、上司が「なぜこの研修を受ける必要があるのか」「戻ってきた後にどんな変化を期待しているか」を個別に話す時間を設けるよう、人事が働きかけます。この「期待の表明」があるだけで、受講者の意識は高まります。

2. 研修中の「アクションプラン」の具体化

研修の最後に書かせるアクションプランが「コミュニケーションを密にする」といった抽象的なものでは、測定不可能です。「誰に対して」「いつ」「どのような頻度で」「何をするか」というレベルまで落とし込ませます。

例:部下Aに対し、毎週月曜の朝9時から15分間、進捗確認ではない「最近の困りごと」を聞く面談を実施する

3. 現場の上司を「共同責任者」にする

研修は人事がやるもの、という認識を捨てさせます。

研修終了後、人事が受講者のアクションプランを上司に共有し、「この行動を職場で支援・確認してください」と依頼します。上司の評価項目に「部下の育成・行動変容」を組み込むことができれば、仕組みとしては最強です。

4. 1〜2ヶ月後の「進捗確認」をする

人間の忘却曲線には対抗できません。

研修から1〜2ヶ月後、受講者へ「あの日立てた目標の進捗はどうですか?」というメールが届く仕組みを作ります。この「思い出させる」という行為自体が、行動を再燃させる強力なフォローになります。

経営層を納得させる「費用対効果」について

経営層から「この研修に数百万かける価値はあるのか?」と問われた際、どう答えるべきでしょうか。

厳密な数値を算出するのが難しい場合でも、「今回のリーダーシップ研修の目的は、課長層の離職率を5%下げることでした。2ヶ月後の調査で、受講者のチームの心理的安全性がスコアで10ポイント向上しており、これが離職防止の先行指標となります」といった具合に、「成果につながる先行指標」を可視化して報告することができれば、次回の予算は獲得しやすくなること間違いありません。

報告することは人事担当者として、かなり覚悟が必要だとは思いますができるだけ数値を出して納得度を高めたいところです。

まとめ

研修の効果測定とは、受講者を監視したりテストしたりすることではありません。受講者が「学んだことを職場で試そう」とした際に直面する壁を、人事がいち早く察知し、取り除いてあげるためのプロセスだと考えましょう。

「やりっぱなし」にしない仕組みが整えば、研修は「一過性のイベント」から「組織文化を変えるエンジン」へと進化します。まずは次の研修から、「2ヶ月後のフォローアップを告知してから研修を開始する」という小さな一歩から始めてみるのもいいかもしれません。

人事が「教えっぱなし」をやめて仕組みを構築できたときに、社員の「学びっぱなし」が終わる仕組みができます。現場と共に歩む教育体系の構築こそが、これからの人事担当者に求められる真の価値なのだと思います。

また、今後はAIの活用により、ひょっとすると、研修参加者のアンケート内容や研修中に考えたアクションプランを読み込ませることで、この受講者は実践確率○%で、実践を阻む壁は○○なので、○○のフォローが必要ですね、といった診断結果が即時に出され、2ヶ月後のフォローアップのタイミングを待たずして、事前に改善案を踏まえた言動を行うことができ、より無駄の少ない研修を実施できる時代が来ると思います。

AIをうまく活用し効率的で効果的な教育研修ができるよう、人事担当者もAIをはじめ、学び続けていくことが必要な時代になっていますので、皆様自身もやりっぱなしにならないようにしてくださいね。。。。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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