時代の変化に対応し、企業が発展していくためには、イノベーションの創出が必要です。しかし、人材不足により、イノベーションの創出が難しいと感じている方も多いでしょう。
そこで今、重要視されているのがイノベーション人材です。今回は、イノベーション人材が求められるようになった背景やイノベーション人材の特徴・能力、育成方法について解説します。
イノベーション人材について理解を深めたい方は、ぜひ最後まで読んで自社の人材育成施策に活用してください。
目次
イノベーション人材とは

企業を変革するためには、既存の概念を覆し、新たな価値を創造するイノベーションを引き起こさなければなりません。
イノベーションは技術革新と訳されることが多いですが、ビジネスにおける捉え方はさまざまです。製品やサービス・ビジネスモデル・仕組み・組織などを対象として、これまでにない発想や技術で新たな価値を生み出します。
そして、このイノベーションを起こす存在として期待されているのが、イノベーション人材です。
イノベーション人材のスキル特性タイプ
上記のように、イノベーション人材は専門分野によって3つのタイプに分かれます。イノベーションを創出するためには、異なるスキルや特性を持った人材の協働が必要不可欠です。
イノベーションの創出は容易ではありません。そのため、上記のタイプの人材を配置し、イノベーションに向けてプロジェクトを進めていくことが求められます。
イノベーション人材が求められている背景

イノベーション人材が求められるようになった背景は、どういったところにあるのでしょうか。
まず、企業にイノベーションが必要な理由を考えてみましょう。
労働人口の減少や働き方の多様化、急速な技術革新によりビジネスの世界は目まぐるしく変化しています。このような移り変わりが激しい時代で、企業が成長していくためには、イノベーションを起こすことが重要です。
かつての日本市場は高い技術力により安定していました。しかし、近年の日本のイノベーション創出は低迷しています。
こういった背景もあり、新たなビジネスアイデアや事業の構造改革ができるイノベーション人材の重要性が強く求められるようになってきました。
参照:WIPO公式HP
イノベーション人材が持つ特徴・能力

イノベーション人材と言うと、特定の能力を持つ優れた人材を思い浮かべる方も多いでしょう。イノベーション人材が持つ特徴や能力とはどのようなものなのでしょう。
イノベーション人材が持っている特徴・能力には以下のような点が挙げられます。
イノベーション人材と言っても、起こしたいイノベーションによって必要なスキルや能力は異なります。前述したように、イノベーション人材にはさまざまなタイプがありますが、共通して上記のような能力が必要とされています。
それでは、個別に見ていきましょう。
リーダーシップ力
イノベーションの達成は容易ではなく、また一人で出来ることではありません。イノベーション人材はトラブルが起こっても周囲を統括し、組織やチームを引っ張っていくリーダーシップ力があります。
リーダーシップ力が高い人の特徴
リーダーシップ力で組織やチームをまとめるためには多くのスキルが必要で、業務や部署により求められるものも異なります。社員が迷う事のないように、明確なビジョンをもち正しい方向に導いていく指導力が求められます。
また、リーダーシップ力は必ずしも経営者や管理職だけに当てはまるわけではありません。組織に携わるすべての人に求められる能力です。
課題の本質を見抜く分析力
イノベーションを起こすには、現状を知り、いち早く適切な判断や策を講じる事が必要です。そのためには、課題の本質を見抜く「分析力」が重要です。
本質を見抜く分析力が備わっている人の特徴は、以下のような点が挙げられます。
既存の考え方や方法では、大きなイノベーションを起こすことはできません。イノベーション人材は、本質を見抜き根本的な原因を探り当てることができるため、適切な判断や改善策を見出すことが可能です。
分析力の向上には、「システムシンキング」と呼ばれる思考法が有効です。システムシンキングは、解決すべき問題をひとつのシステムとして俯瞰で見る事で解決に導きます。
周りを巻き込むコミュニケーション能力

チームで仕事をする際やビジネスで成果を出す上で、周りを巻き込むコミュニケーション能力は重要なスキルです。
イノベーションは一人でできるものではありません。限られた時間の中で最大の成果を出すためには、周囲の協力を得られるかが重要なポイントです。ビジネスでは他社と関わることが多く、巻き込み力のある人材を得ることで、イノベーションの創出が期待できるでしょう。
周りを巻き込むコミュニケーション能力は、イノベーションを牽引するリーダーに特に求められます。コミュニケーションに積極的で、周囲を巻き込む影響力を持っていなければなりません。
そのためには、コミュニケーションを通して信頼関係を築く必要があります。仕事の指示やお願いをするだけでなく、相手を尊重し、理解する姿勢が大切です。
チームで仕事ができる協調性
イノベーション人材の持つ特徴として、「協調性」も重要視されている能力です。ビジネスにおける協調性とは、「異なる立場や違う考え方を持つ人と協力しながら、共通の目標達成に向けて行動できる能力のこと」を指しています。
長期に渡るプロジェクトは、チームで仕事を進めることが多いため、互いに協力し合いながら効率良く進めていくことが求められます。チームワークの向上には、協調性が必須と言えるでしょう。
協調性のあるチームは、それぞれがすべき役割を把握しています。チーム全体の生産性を向上させる要因にもなり、信頼関係を持てることもポイントです。創造性のあるアイデアの提案が生まれるなど、イノベーションの創出が期待できるでしょう。
高いモチベーションと胆力
イノベーション人材の特徴として、高いモチベーションと胆力を持っていることも把握しておきましょう。イノベーションの実現には長い期間がかかることも多く、プロジェクトの過程においては、さまざまなトラブルや不具合が生じることも少なくありません。
胆力とは「物事に臆せず動じない精神力」を意味し、ビジネスにおいては、困難にも動じず立ち向かう能力のことを言います。胆力に加え、高いモチベーションを持って仕事に望むことも必要です。
胆力を持っている人は、確固たる信念を持って仕事に取り組みます。逆境に強く、目標に向かって努力し続けます。胆力を養うには、失敗を恐れずチャレンジし続け、主体的に取り組むことを積み重ねることが必要です。
VUCA時代の流動的なビジネスシーンに対応するためには、高いモチベーションと胆力がある人材が企業にとって必要と言えるでしょう。
イノベーション人材の育成方法

イノベーション人材は、現代で多くの企業が求める人材です。イノベーション人材の必要性がわかっても、具体的な人材育成方法が分からないケースも多いでしょう。
ここでは、イノベーション人材の育成方法を5つ紹介します。
雇用形態の多様化に伴い、企業における人材育成も大きく変化しています。イノベーション人材の育成でおさえておきたい項目を理解し、人材育成に役立ててください。
中長期の育成計画を立てる
イノベーション人材の育成に取り組むためには、中長期で育成計画を立てることが重要です。
イノベーション人材の特徴・能力の章で述べたように、求められる能力は短期間で習得できるものではありません。仕事の積み重ねによって得られるスキルや、責任ある業務を経験して身につくものがほとんどです。
そのため、社員がイノベーションを起こせる能力を習得できるよう、短期間ではなく中長期で計画する必要があります。
また、企業の戦略の方向性や課題により実現したいイノベーションは異なります。自社の課題や戦略に基づいた計画を立てることが重要です。イノベーション人材がいつまでにどの程度必要なのかを明確化し、長期的な計画を立てることが求められます。
学習・挑戦機会を多く提供する
イノベーション人材を育成するには、学習・挑戦機会を多く提供することが重要です。人材育成は周りが成長させようと思っても、育成対象者が成長したいという気持ちがなければ成り立ちません。
人材育成を成功に導くためには、企業側が積極的に学習・挑戦できる機会を提供し、社員が成長できる環境を整えることが大切です。
また、機会を提供するだけでなく、育成対象者が自発的に学ぶことが重要です。成長意欲があることがイノベーション人材の育成に繋がるため、社員の自主性を引き出せるような研修は良い機会となるでしょう。
イノベーションは、既存事業の延長線上にないことが多く、期待される成果や能力が異なります。そのため、イノベーション人材の育成にあたっては、既存の人材制度と分けて管理することが望ましいでしょう。
評価制度の見直し

イノベーション人材の育成は、企業にとって前例のないケースもあるでしょう。評価制度を見直し、従業員が安心して取り組めるような体制を整えることが必要です。
評価制度は組織の活性化や人材育成に繋がりますが、従来の成果主義的な評価制度を取り入れている企業も多くあります。そのため、現代のビジネスの在り方や働き方との間にズレが生じている企業も少なくありません。
イノベーション人材に対する取り組みが明確に評価できる制度を作ることで、育成対象者のモチベーションやスキルアップも期待できるでしょう。また、評価項目や基準があることで、企業側もマネジメントが行いやすいといったメリットもあります。
評価制度の見直しは、社員の能力を発揮させるために必要であることを認識しておきましょう。
イノベーションに関する集合研修
イノベーションに関する集合研修も、イノベーション人材育成に効果的です。
集合研修の例
名称 | 内容 |
---|---|
デザインシンキング | デザイン思考により、テーマの作り方やアイデアの生み出し方を学ぶ |
エスノグラフィー | 調査対象者の生活の場に身をおき、価値観を包括的に理解し、深い洞察力を得る |
ハッカソン | チームを作り決められた期間内でアプリケーションを開発し、その成果を競い合うイベント |
アイデアソン | アイデアを創出するテクニックやツールを学習し、限られた時間の中でアイデア創出を行う |
集合研修と言っても、アイデア創出や顧客ニーズを深く知るための研修、発想力を養う研修などさまざまです。
集合研修のメリットは、社内外のコミュニティ作りや実践的なトレーニングができる点が挙げられます。社員がチャレンジできる場が多くあれば、イノベーションを起こせる人材の育成に繋がるでしょう。
社外活動の奨励
社外活動の奨励も、イノベーション人材の育成に役立ちます。社外活動には、プロボノと呼ばれるボランティア活動や社外のコミュニティ・イベントへの参加などさまざまです。
社外活動への参加は、社会貢献を通じて個人の成長を図っていきます。この経験が元になり、多様な視点と経験を活かして、イノベーションの創出に役立てることができるでしょう。
また、社外活動の場として、コミットの越境学習プログラムもオススメです。
越境学習では、現在の職場以外で異なる文化や価値観にふれるため、社内研修では得られないイノベーションの創出やスキルアップの機会を設けられます。
会社は、社外活動の成果を評価するための制度や基準を設けることが必要です。イノベーション人材の育成に繋がるよう、社外活動を支援する仕組みを考えていきましょう。
イノベーション人材の育成には「越境学習」も有効

イノベーション人材の育成を社内で行うのが難しいと感じている担当者も多いでしょう。
そのため、近年では越境学習という手法で、イノベーション人材の育成に取り組む企業も見受けられます。
ここでは、イノベーション人材の育成に役立つ「越境学習」を紹介します。越境学習がどういったものなのか、なぜ越境学習が注目されているのかなどを解説するので、人材育成法として参考にしてください。
越境学習とは
越境学習は、普段勤めている職場を離れて異なる環境に身を置き、新たな学びを得ることです。所属している組織や部署を離れて学習することで、新しい視点や知識を得ることができます。
越境学習の手法には、ワーケーションや社外留学・プロボノ・副業などさまざまな方法があります。越境学習が企業にもたらすメリットとして、人材育成や生産性の向上、組織にはない新しい情報を得られることなどが期待できるでしょう。
越境学習者は、スキルアップや多様な価値観を持つことができるようになるため、広い視野を養うことができます。
越境学習が注目されている理由
社会変化が目まぐるしい現代を企業が乗り越えるには、イノベーションを起こせるような人材育成が必要です。そのため、有効な人材育成法として越境学習が注目されるようになってきました。
越境学習が注目されている理由
越境学習は、異なる文化や価値観の違う人達との経験を元に、イノベーション創出に必要なアイデアや新規事業の発想が生まれることが期待できます。また越境学習は、優秀な人材の離職や流出の防止にも繋がります。
越境学習とは?具体的な5つの方法や注目を集めている背景を徹底解説
「CO-MIT越境学習」ならイノベーション人材の育成におすすめできる

引用元:CO-MIT公式HP
イノベーションを実現するためには、優れたイノベーション人材が必要です。しかし、イノベーション人材育成の計画方法がよくわからない方や、最適な研修方法が知りたいという方も多いでしょう。
イノベーションを創出できる人材の育成にはCO-MITの越境学習プログラムがオススメです。
CO-MITのプログラムでは、「ラーニング型」「ビジネス創出型」「福利厚生型」と目的別にさまざまなプログラムを提案しています。
また、越境学習の実施に最適なモデルプランも提案しています。サイトには、プログラムの内容がわかりやすく明記されているので、自社に最適な研修プログラムが見つかるでしょう。
CO-MITがおすすめする越境学習やワーケーションは、体験者と企業に多くのメリットをもたらすでしょう。イノベーション人材育成の研修を検討している方は、CO-MITをぜひチェックしてみてください。
まとめ

多くの企業において、イノベーション人材の需要が高まっています。イノベーション人材を育成するためには、実現したいイノベーションの目的を明確化し、求める人材像を具体化することから始めましょう。
また、イノベーション人材の育成には多くのスキルを要するため、人材育成においては中長期の計画に基づいて行いましょう。
企業が発展していくためには、イノベーション人材の育成が大きく関係しています。イノベーションを起こせるかどうかは、人材育成にかかっているということを把握しておきましょう。
CO-MITでは人材育成をはじめ、研修や福利厚生など目的に合ったさまざまなプログラムを多数用意しています。VUCA時代に必要なイノベーション人材育成に少しずつ取り組んでみてください。
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