リスキリングとは?メリットや目的、必要性、導入ステップを解説

2024.10.11

リスキリングとは?メリットや目的、必要性、導入ステップを解説
デジタル技術やAIが進んでいる現代、リスキリングの導入によってDX化の推進をおこなおうとする企業が増えています。リスキリングとは業務上必要なスキルや新しい知識を学び直すことですが、DX化を優位に進めるには重要な手段となっています。

そこで今回は、リスキリングを導入する際のメリットや目的、段階的におこなうことの必要性などを紹介します。ぜひ参考にしてください。

リスキリングとは

リスキリングとは、新しい状況に適応するために必要なスキルや知識を学ぶこと、または企業が社員に対して学び直させることです。英語では「re-skilling」で直訳すると「学び直し」という意味になります。

近年では企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上でかかせません
経済産業省も「新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること」と定義されています。

ここでは、リスキリングの目的に加え、似たような意味合いを持つ「スキルアップ」「リカレント」との違いを紹介します。

参考:「リスキリングとはーDX時代の人材戦略と世界の潮流ー」|経済産業省
   ​https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf

リスキリングの目的

リスキリングは、DX化にともない変化していく業務上のスキルを習得することが目的です。「リスキリング=DX教育」ということではありませんが、日本の企業はDX化にともなう人材不足で遅れをとっているため、リスキリングが急務となっています。

ではなぜ、それほどまでにリスキリングが必要なのでしょうか。それは、2020年のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)でリスキリング革命が主要な議題に挙がったように、世界中に広がる第4次産業革命に対応するためリスキリングが必要になったからです。

参考 :『リスキル革命』~ダボス会議で「2030年までに10億人のリスキル」が提唱| 一般社団法人日本能率協会
   ​https://jma-news.com/archives/aw_compass/3619

また日本でも経団連が2020年に公表した「新成長戦略」において、リスキリングを提唱しています。こうして、さまざまな分野でリスキリングは浸透しつつあるのです。

参考 : 「新成長戦略」|経団連
   ​https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/108_honbun.html?v=p

「リスキリング」・「スキルアップ」・「リカレント」の違い

リスキリングと似たような言葉で、「スキルアップ」と「リカレント」があります。この3つの言葉は、それぞれ特徴や意味合いが違います。

スキルアップは、自分が今もっている能力を訓練や学習を通じて向上させることです。対してリスキリングは、全く新しいスキルを身につけることをいいます。

リカレントは、新しいスキルを身につけるために一度職を離れて学習することで、リカレント教育ともいわれています。リスキリングは、企業が主導となり人材開発の一環として知識やスキルを学び身につけます

同じ学びでも定義が違うことがわかります。このことを理解したうえで、リスキリングを導入することが大切です。

リスキリングを実施するメリット

リスキリングを企業が実施するメリットは大きく分けて5つあります。

・業務の効率化
・人手不足に対応
・アイデアの創出
・エンゲージメントの向上
・市場価値の向上

リスキリング自体はDX化を推進するためのスキルや知識が向上するので、メリットは十分にあります。

しかし、細かく分析すると企業側にもさらにメリットがあることがわかります。これからの時代の変化に対応する人材は必要なので、導入の手間とコストがかかったとしてもリスキリングは欠かせません。

ここでは、リスキリングを行うメリットについて、詳細に解説します。

業務の効率化

リスキリングによりデジタル技術を習得すれば、業務の効率化が期待できます。その結果、手作業でおこなわれていた時間が軽減され、自動化されることによってデータの一元管理や正確なデータ管理も可能になります。

また、人員を削減したり残業時間を減らしたりすることも可能になるのです。これにより、社員のワークライフバランスを改善でき、企業と社員双方の満足度を高めることができます。

お互いの関係がうまくいくと、新しい業務や事業に時間を割くことが容易になります。企業は新たな技術も導入できて、生産性の向上につながるのです。

人手不足に対応

少子高齢化により労働人口が減っている現代、人手不足は大きな課題のひとつです。しかし、リスキリングすることによって、人材育成につながり人手不足にも対応できるのです。

そこで、既存の社員のリスキリングを実施すれば採用コストも削減でき次世代への即戦力となります。また、既存の社員は他部門の状況も把握していることが多いので、DX化の推進を実施する場合、リーダーシップをとることも可能です。

アイディアの創出

リスキリングで新しい知識やスキルを身につけたことにより、違う視点から物事をいろいろ見ることができるようになります。その結果、今までにないアイデアがうまれ、新規事業の立ち上げや業務拡大へとつながることもあります。

さらに、既存事業におけるマンネリ化や時代遅れの仕組みや考え方も解消できます。このようにリスキリングは、激しい時代変化が起こっても対応できる能力を身につけることができるのです。

企業は新しい風を取り入れながら独創的なアイデアを創出し、よい変化をもたらす姿勢を求めています。そのためにもリスキリングは、必要な取り組みのひとつといえます。

エンゲージメントの向上

企業がリスキリングを推進し、社員に学びの場を提供すればエンゲージメントの向上につながります。エンゲージメントは、仕事に対する熱量や企業と社員の関係性を示す指標です。

リスキリングは、新しい知識やスキルを身につけることなので時間とエネルギーが必要となり、モチベーションを保つのが難しい面があります。しかし、長期的にリスキリングを支援することで企業との信頼関係が築きあげられ、エンゲージメントは向上します。

その結果、企業の生産性が向上し、業績に貢献したと感じられることができたら社員の満足度も上がります。

市場価値の向上

リスキリングをすることによって、市場での企業価値が向上するのもメリットのひとつです。リスキリングは、DX化を推進するための手段なので、スキルや知識を必要とする企業は数多く存在します

デジタル技術やAI技術が向上しても、それらは人間が手を加えたことによって進歩しています。どんなにDX化が進んでも、リスキリングによる人材の育成は必要です。

リスキリングすることによって社員は知識を高め、企業により貢献できるようになります。そうすれば、リスキリングの市場価値は着実に高まるのです。

リスキリング導入のステップ

リスキングを導入する際は、きちんとステップを踏んで計画的に準備を進めることが重要です。今回は4つのステップについて詳しく紹介します。

・事業内容などをもとに、何を取得すべきかを決定
・リスキリングの必要性を理解してもらう
・リスキリングの教育プログラムの決定
・各社員に実践してもらう

必ずこのステップ通りに導入しなければいけないということはありません。

しかし、リスキリングを導入し、成長戦略をおこないDX化を推進するためには、ステップを順に踏むことが重要です

事業内容などをもとに、何を取得すべきかを決定

リスキリングを導入する際、自社の事業内容を把握し、何を目的とすべきか明確にしなければなりません。企業によって、何が必要かは違います。抽象的なまま進めていくと、あやふやになり時間がかかってしまいます。

自社にとって課題は何か、その課題を解決するにはリスキリングで何を学べばよいかなどを共有し合いながら、進む方向を定めてください。それによって、社員からの理解が得られ、達成に近づくことができます。

リスキリングは手段であり目的ではないことを周知し、組織全体での事業戦略を具体化することで、リスキリング導入がスムーズになります。

リスキリングの必要性を理解してもらう

リスキリングは、社員が通常の業務をこなしながら新しいスキルや知識を学ばなければいけません。社員にはリスキリング導入の必要性を理解してもらう必要があります。また、デジタル技術のスキルに苦手意識をもっているとなかなか前向きになれません。

そこで、リスキリングに取り組むことによって、自身のキャリアが開けていくことを認知させることが大切です。また、企業も強制的に学ばせるのではなく、本人が取り組みたいという意思をもてるような環境づくりを心がけましょう。

就業時間外にリスキリングをおこなうのも社員のやる気を落とす原因になるので、必ず就業時間内に学習できる時間を作るようにしてください。

リスキリングの教育プログラムの決定

リスキリングの教育プログラムは、さまざまな方法があります。会議室でおこなう研修のほかに通信講座やeラーニング、社会人大学などが考えられます。自社でおこなうのが難しい場合は、外部の講師を呼ぶ方法もあるでしょう。

また、リスキリングに適したプログラムに、越境学習を取り入れることもおすすめです。越境学習は、ワーケーションや異業種勉強会、副業などさまざまです。異なる価値観を持つ人との交流で多角的な視点を持ち、自身の目標や進むべき未来を模索することに繋がります。

CO-MITでは、越境学習に特化した学習方法を取り入れています。いつもの見慣れた職場の風景ではなく新しい環境でリスキリングをすることによって、新たな気づきを得ることがあるのです。

もし、越境学習に興味をもたれた時は、ぜひCO-MITを検討してみてください

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各社員に実践してもらう

教育プログラムが決定したら、社員に実践してもらう段階になります。リスキリングは手段なので、企業の目的のために実践していかなければならないのです。したがって、リスキリングで多くのスキルや知識を習得しても、実際の業務でうまく活用できなければリスキリングに取り組んだとはいえません。

ただ、最初から大きなプロジェクトに参加すると、負担が増えて実際のスキルを活用できないこともあります。まずは小さなプロジェクトを実施し、習得したスキルをカタチにすることが大切です。

また、実践で取り組んで成功したことを共有し活躍の場を広げることによって、今後の社員のモチベーションの向上につながります。

リスキリングに活用できる補助金

リスキリングに取り組む際、国や民間団体などから補助金や助成金を受け取ることができます。リスキリング導入を検討の際は、3つの補助金制度を参考にしてください。

・リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
・「人材開発支援助成金」(人への投資促進コース)
・「人材開発支援助成金」(事業展開等リスキリング支援コース)

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

経済産業省は「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の公募をおこなっています。これは、キャリアアップを目的として、新たなスキルを身につける人を応援する制度です。

ポイントとしては、講座費用の2分の1相当額を補助し、その補助額は1人当たり最大40万円になります。また、支援できる対象者は正社員、契約社員、派遣社員、パートやアルバイトなど企業と雇用契約を締結している在職者になります。

この事業では、キャリアコンサルタントなどの専門家へのキャリア相談から、リスキリングの受講、転職相談までの一気通貫で支援してもらうことができるのです。

参考 :「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」|経済産業省
   ​https://careerup.reskilling.go.jp/

「人材開発支援助成金」(人への投資促進コース)

「人材開発支援助成金」(人への投資促進コース)は厚生労働省がおこなっている支援です。この助成制度は1事業所あたり、年間2,500万円まで助成が受けられます。最大75%の経費助成率が受けられ、訓練費用+賃金の助成も受けることができます。

訓練コースの中でも、高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練のコースはDX化の推進に必要な人材の育成を目的とした訓練です。細かい要件はありますが、かなり手厚い助成が受けられます。

また対面による訓練だけではなく、eラーニングや通信制による訓練にも助成金が支給されます。eラーニングとは、情報通信技術を活用した遠隔講習で対面のように一斉の訓練をすることがないため、隙間時間に参加できるメリットがあります。

参考 :「人材開発支援助成金」(人への投資促進コース)|厚生労働省
   ​https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000970089.pdf

「人材開発支援助成金」(事業展開等リスキリング支援コース)

事業展開等リスキリング支援コースは、企業が新規事業の立ち上げにともない、社員がリスキリングに取り組む制度です。1事業所あたり年間最大1億円の助成金が支給されます。

このコースでは、新商品開発などの事業展開、DX化にともなう人材育成、省エネ・再生可能エネルギーを活用する際の人材育成の支援をおこなっています。訓練対象者は申請事業主における被保険者となります。

基本要件は、実訓練時間が10時間以上であることやOFF-JT(企業の事業活動と区別しておこなわれる訓練)であること、専門的な知識や技能を習得することなどがあります。

参考:「人材開発支援助成金」(事業展開等リスキリング支援コース)|厚生労働省
  ​https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001070651.pdf

リスキリングの実践にはCO-MITの越境学習を検討しよう

引用元|CO-MIT(コミット)公式HP

リスキリングの効果を最大限に引き出すためには、現場社員の要望を取り入れたプログラムを設計し、習得したスキルや知識を実務に活かせるサイクルの確立が大切です。

しかしリスキリングの実践は、どうしても企業内での変革や業務プロセスの改善を目的としているため、閉塞的なイメージになりがちです。

そのような場合は、リスキリングへの取り組みとして越境学習を検討してみてください。越境学習とは、会社や職場を離れて全く異なる場所に身を置き、新たな視点や学びなどを得ることです。

CO-MITのワーケーションプログラムであれば、職場の喧騒を離れリフレッシュできる機会を提供してくれます。社員同士のコミュニケーションもとりやすく、今後の企業戦略についてディスカッションしやすい環境といえます

CO-MITでは専門家に相談できるサービスもあります。越境学習でリスキリングの実践を検討している際は、ぜひCO-MITに相談してください。

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まとめ

リスキリングとは、企業の業務内容によって新たなスキルや知識を習得することです。現在、DX化の推進は、日本の企業にとって最優先の課題になっています。そのため、デジタル人材を育成するリスキリングの導入は多くの企業でおこなわれています。

ただし、リスキリングを導入する際、きちんとしたステップを踏まないと、DX化を推進することが難しくなります。社員にはリスキリングする目的を明確にし、過度な負担を与えずにリスキリングに取り組ませることが重要です。

CO-MITはリフレッシュしながらリスキリングに取り組む場として最適です。いつもとは違う環境でリスキリングをしたいと思ったときは、ぜひCO-MITに相談してください。

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