【研修に使える】助成金・補助金やハラル(ハラール)対応について

2022.11.28

【研修に使える】助成金・補助金やハラル(ハラール)対応について
早いもので、いよいよ今年も終わりに差し掛かってきました。
振り返ってみますと、コロナ対応にも慣れてきた中でロシア・ウクライナ間での軍事行動によるエネルギーや食料品等の需給問題、そこから発生してきた物価高からの賃金アップの機運の高まりにより、日本がどちらかというと低賃金の国であることが暴かれ、円安の進行と合わせて日本で働くメリットを感じにくくなる外国人が増えたのではと思っています。
また、一部では日本よりも賃金の高い国で働き、円安メリットを享受しようとする出稼ぎ組で出てきているようで、この流れは長い目で見ると加速していく気がしています。海外旅行をしながら働くこともやりやすい世の中になっていくと思うと、私としてもワクワクしてくる次第です。
ワーケーションに慣れている私としても、次は出稼ぎをやってみたい派なので、チャンスを作ってチャレンジしたいと思います。

さて今回は、私が個人的に気になっている人材開発に関する助成金等とハラルについてご紹介していきます。

人材開発への助成金・補助金について

首相の所信表明演説において、人への投資を5年間で1兆円行うという方針が示されています。来年度はリスキリング*と成長分野への人材移動、そして賃上げが大きなテーマとなり、その流れを受けて企業としても社員教育を進めていきたいという気持ちが高まってくるものと想定しています。

*リスキリングとは…新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

出典 経済産業省:第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会 開催資料
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf

ですが、やはり費用が気にある、というケースも多いと思いますので、ポイントとなるものをご紹介いたします。

人材開発支援助成金の活用における教育訓練の内容

まずは文字通りの人材開発支援助成金が厚生労働省より制度化されています。
こちらは令和4年4月から、人への投資促進コース、なるものも創設され、国としても力を入れているものとなります。

事例として、「特定訓練コース:若年人材育成訓練」というものがあります。
助成金を活用するに至った背景として、今まではスキルの習得はそれぞれ自己学習が基本であったが、組織力強化のためにマネジメントスキルの習得を企業として目指していくことになった、という企業向けシステム開発サポートを行なっている20名ほどのサービス業の企業様。
人材育成上の課題としては、国勢的に活躍できる人材が必要であり、10年後に活躍できる人材を育てることであり、IT人材は分業制で仕事をすることが多く、コミュニケーションが不得意な人材が比較的多い、という状況。

人材開発支援助成金の活用における教育訓練の内容としては、

①外部講師を招いての教育訓練
②ITプロジェクトリーダー研修、という名の研修
③訓練目標:プロジェクトチームのリーダーとして、チームビルディングを行い、マネジメントをする上で必要となる知識や技術を学ぶ
④訓練時間:一人あたり合計28時間
⑤外部講師の謝金・旅費等:一人あたり50,000円
⑥教科書代:一人あたり3000円

上記訓練内容に対する助成金の金額

①外部講師への謝金・旅費等の45%=53,000円×45%=23,800円
②訓練時間に対する賃金の助成(中小企業、760円/h)=28h×760円=21,200円
 支給合計 45,000円/人

というものです。53,000-45,000=8,000円の実質負担額で研修を受講できる、という結果につながっています。
個別の状況により、受給金額が変わることもあります。また、社内で研修場所がなく、外部施設を借りる場合も助成金が受給できることもありますので詳細については下記のURLでご確認いただければと思います。

出典 厚生労働省:人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇等付与コース、特別育成訓練コース、人への投資促進コース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

その他、自治体によって独自に設定されている助成金や補助金もあるようです。

東京都:社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金
津市:中小企業振興事業補助金(人材育成支援事業)
福井市:中小企業団体人材育成補助金
水戸市:工業振興支援事業補助金(人材確保・育成事業)
川口市:技能検定等受検手数料助成金 等々。。。

該当地域に当てはまる企業様は是非ご確認ください。

注目される「リスキリング」。社員の学び直しの機会を支援

あと、「リスキリング」のキーワードがさらに広がっていく中、企業が社員の学び直しを支援する動きも活発化されています。例えば、オムロンは国内にいる約4600人の社員を対象に、勤務時間外に専門学校やビジネススクールに通い専門性を高めるなどの機会を作る目的で、週3日勤務や短時間勤務といった働き方を選択できる制度を2023年3月から導入する、と言うニュースがありました。

具体的には、3つの選択肢があるようです。

①1日の就業時間を15分単位で最大2時間短縮できる短時間勤務制度
②週3日か4日の勤務が選べる短日勤務制度
③休職

現在所属している部署とは異なる分野の学び直しも中長期的なキャリア形成に役立つ内容である、と認められれば制度を利用できるようです。
制度は最大で2年間。学校の修了証明書などは求められないようなので、精神的なプレッシャーもあまりかからない仕組みだと思います。

あと、気になる給与は、休んでいる期間・短くなった時間分は支給されないので、社員側からすると不安のない資金計画をしておかないといけませんが、会社に所属しながら学び直しができる心理的に安心感のある状況が用意されていることはかなりのメリットだと思います。
会社側からすると、時代や外部環境にあった必要な能力を保有する社員を育成することができるので、とてもメリットのある制度だと思います。
代替社員が確保できる企業規模ならではの取り組みに写っている方も多いかとは思いますが、「学び直しができる職場」が採用力につながると思いますので派遣社員やマニュアルの整備によって代替社員を導入できる仕組みづくりが求められてくると考えています。

ハラル(ハラール)とは?企業のハラル対応について

ハラルってなに?という方も多いかと思いますので簡単にご説明しますと、イスラム教徒がイスラム教の教えにおいて許可されている行動や行為、服装、食べ物といったもの全般のことを指しています。
よく聞くところによると、イスラム教徒は豚肉やアルコール飲料は禁止、女性は肌の露出をなくす、といった類のものになります。

最近では、インドネシアの国営製薬会社が開発したハラル対応の「コロナワクチン」の接種が始まっている、というお話もあるようで、豚由来の成分やアルコールなどの物質を排除し、国内の認証機関からお墨付きを得たワクチンのようです。イスラム教徒向けに徹底した研究開発の賜物といえるでしょう。
外国からの観光客がコロナ前水準に戻りつつある中で、イスラム教徒の方々に向けに配慮した宿泊施設も日本国内で増えてきているようですので、この辺りは日本でもお墨付きのような制度ができても面白いかも、と思っている次第です。
人事労務の世界でも多様性を受け入れる、という言葉がかなり増えていますが、企業内でも今後、ハラル対応への柔軟度が問われる時代がくると思いますので対応方法について情報収集を始めていても遅くはないと思っています。
ちなみに私の知っている情報だと、1日5回、決まった方向を向いてお祈りをする、という習慣がおありなので、本人とも相談の上、その時間帯が仕事時間中なのであれば、その時間帯の勤務を免除したり、お祈りをする場所を確保してあげる、ということを企業側も対応する、という人事労務管理面でのお話はあります。

まとめ

自分の人生は自分で作る。
そのために必要となる人生設計やマネープランを整理して学ぶ必要性が高まってきていると思います。
時代にあった教育研修を積極的に社内展開すると、社員さんから感謝されることも増え、どの企業も問題視している社員定着率や採用力が上がってくるのではないでしょうか。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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