【意識調査】新卒採用における保護者の動向や経営側のスタンス調査から見る企業の賃上げについて

2023.2.28

【意識調査】新卒採用における保護者の動向や経営側のスタンス調査から見る企業の賃上げについて
私の長男もなんとか次の4月から大学生になることができ、ホッとしているところです。
ホッとしたのも束の間、4月から大学3年生になる長女の進路について、そろそろ家でも話題に出てきています。
私自身の仕事の仕方が全国どこにでも行くスタイルでやっているので、長女でも全国転勤全然OKだと思っていますし、本人も私の姿を見ているので結構アクティブにあちらこちらに飛び回るのもいいかも、言っていますが、妻はそうでも無い雰囲気を出しまくっていますので、今後の長女の会社選びで、家庭内問題が勃発しそうな予感がしております。

私の家庭のように、本人の意識だけではなく親の意見も大学生が就職先を選ぶ上で影響があるようなので、ここでは大学生の子どもを持つ保護者の意識についてご紹介し、採用力アップにつながるヒントになればと思っています。

就職活動に対する保護者の意識について

マイナビが「大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中」の子供を持つ保護者1,000名を対象に実施した「就職活動に対する保護者の意識調査」の結果を見てみたいと思います。

今回の調査でもっとも興味深いのが「子供が全国転勤のある会社に就職を希望した場合、賛成するか反対するか」という設問です。その結果は以下のようになっています。

■全体
 賛成…15.1% 反対…29.6% どちらともいえない…55.3%
■息子を持つ保護者
 賛成…18.0% 反対…22.6% どちらともいえない…59.4%
■娘を持つ保護者
 賛成…12.2% 反対…36.6% どちらともいえない…31.2%

このように約3割の保護者が全国転勤のある会社への就職に反対と回答しています。
中でも娘を持つ保護者では36.6%が反対としており、いわゆる「親ブロック」が起きやすい状況となっています。
そもそも学生本人も転勤を避ける意識が高まっており、激化する新卒採用環境を考えれば企業の転勤政策も再検討が必要な状況になっていると考えるべきだと思います。

出典:2022年度 就職活動に対する保護者の意識調査|マイナビ キャリアリサーチLab
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20230208_44591/

8割の企業が賃上げを実施予定?経営側のスタンス調査から見る企業の賃上げについて

ここ最近ではほぼ毎日と言っていいくらい賃上げについてのニュースが出ていますので、物価高への対応で今春の賃上げをどのようにしようかと頭を悩ましている経営者・人事担当者の方は多いと思います。
そこで今回は産労総合研究所の「2023年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」の結果を取り上げます。なお、この調査は、全国上場企業と過去に同調査に回答のあった同社会員企業から任意に抽出した3,000社を対象として2022年12月に実施されたもので、今回の集計社数は233社となっています。

自社の賃上げ率

2022年と比較した2023年の賃上げについての回答を見ると以下のようになっています。
※()内は前年度の数値。

2022年を上回る…34.1%(19.0%)
2022年と同程度…53.1%(70.8%)
2022年を下回る…8.9%(6.6%)

今春は物価高に対応し、賃上げを志向する企業が増加しており、前年比19.0ポイントのプラスとなっていますが、この「2022年を上回る」の回答を企業規模別で見ると以下のように大きな差があり、中小企業では十分な昇給原資が確保できていない状況にあることが分かります。

1,000人以上…48.6%
300~999人…36.2%
299人以下…26.2%

物価上昇分への対応

物価上昇を2023年の賃金改定で考慮するかどうかについてはの回答は以下のようになっています。なお、この点については企業規模や業種の違いに大きな差は見られませんでした。

考慮する…38.6%
考慮しない…16.7%
わからない…44.2%

ベースアップの実施意向

定期昇給制度のある企業を対象としたベースアップ等の実施意向を聞いた設問における「定期昇給もベースアップも実施する予定」という回答は26.4%で、前年の13.0%からは倍増しています。なお、企業規模別ではやはり中小企業での実施意向は低くなっています。

1,000人以上…37.2%
300~999人…24.3%
299人以下…22.6%

物価が上昇しており従業員の生活が圧迫されていますが、企業も電気代などのコストが増加しており、決して楽な状況ではありません。十分な議論と従業への状況の開示が求められます。

出典:2023年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査|産労総合研究所
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/chinginseido/shunkiroshi/pr2302.html

以上となります。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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