今後の採用活動のヒントに!若手社員の傾向や企業に求めることなど押さえておくべき3つのデータ

2023.9.28

今後の採用活動のヒントに!若手社員の傾向や企業に求めることなど押さえておくべき3つのデータ
こんにちは。
今年の凄まじい酷暑もようやく終わりを見せ、過ごしやすくなってきたと感じる日々が多くなってきました。

ご支援先に行って採用のことをお聞きすると、本当に苦戦されている企業様が大半で、たまーに、うちの会社は応募が結構きますよ、採用も何だかんだ言いながらもそんなに苦戦していません、と言われる企業様がいらっしゃいます。秘訣を聞くと、給与水準がその業界内では良い方だと自負されており、実際に同業他社出身の応募者も多いようです。
お金も重要な要素なので、余力のある企業様はどんどん月給を上げて、採用力を高めていただければと思いますが、最低賃金の大幅なアップへの対応で精一杯、という企業様も多く、お金以外の要素で何とかできることはないのか、というお声も多いのが事実。

今月は、若者の考え方や働く方の希望を知ることで、自社が実施すべき施策のヒントになればと思い、3つの項目をお伝えしたいと思います。

新卒社員の早期退職傾向

マイナビが実施した新入社員の意識調査の最新情報を共有したいと思います。うちの会社は新卒社員なんて採用すらできないから関係ない、という考え方ではなく、新卒社員=若手社員と置き換えて、内容を押さえておくべきだと思っております。

はじめに、今年の新入社員にいまの会社であと何年働くかを尋ねたところ、全体の24.1%が3年以内に退職、16.0%が4~5年ぐらい、9.0%が6~10年ぐらいで退職を考えているという結果となりました。中でも女性は30.0%が3年以内に退職をすると回答しており、企業としては早期離職防止の対策が求められます。
 
いまの会社で長く働くと思わない理由について、もっとも多い理由は、「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから」で、これが32.6%となっています。なお、この項目については男女差が大きく、男性が20.9%であるのに対し、女性は41.6%となっています。女性の場合、結婚や出産などで生活環境が大きく変わることになる傾向が強いことから、このような結果になっていると思われます。その他の理由としては「給料が低いから」が28.8%、「いろいろな会社で経験を積んでいきたいから」が25.7%と続いてます。
 
それではどのような職場環境であれば長く働きたいと思ってもらえるのか。この質問について、もっとも高い回答率となっているのが「コミュニケーションをとりながら進める仕事が多い」で50.6%となっています。次いで「身につけるべきスキルが明確である」が33.1%、「配属当初と比べて成長したと感じる」が31.5%となっているように、コミュニケーションや成長が大きなキーワードになっていることが分かります。これは別の設問にある「上司先輩の態度や行動で嬉しかったこと」という項目にも関係しており、「話しかけてくれる」が60.6%と最多の回答になっています。また「誉めてくれる」も36.8%となっており、上司や先輩としては新入社員に積極的に話しかけ、もしくは良い行動については積極的に褒めるということが重要であることが分かりますが、一方で「良くないときはきちんと指摘してくれる」も31.4%と高い回答になっていることを考えますと、上司や先輩は褒めるだけではなくしっかり指導するということが重要であることも分かります。
 
新卒採用の環境が激化している中、その育成と定着は企業にとって大きなテーマとなっています。こうした結果も参考にしながら新入社員との関係性の構築を進めていきましょう。

参考:マイナビ「新入社員の意識調査(2023年)2023/8/21」
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/15/

採用活動に苦戦する企業が増加!大学生が企業側に求めている情報

新卒採用で苦戦する企業が本当に多くなっています。各企業では大学生に対し、様々な情報発信を行っていますが、実際に学生はどのような情報を求めているのでしょうか。
マイナビが実施した「2024年卒 内定者意識調査」の結果を見ていくこととします。なお、この調査の対象は2024年卒業予定の全国大学4年生および院2年生で、有効回答数は2,851名(内々定保有者)となっています。

以下は学生が「入社意欲を高めると思う情報」の上位となっています。
ちなみに( )内は企業が採用時に情報開示した割合です。

74.1%(71.5%) 福利厚生の充実
64.6%(44.2%) 待遇(給与や賞与など)の良さ
63.9%(69.9%) 社風や雰囲気の良さ
63.1%(45.6%) ワークライフバランスの良さ
44.8%(53.6%) 研修など人材育成の制度の充実
39.2%(35.0%) 平均勤続年数の長さ
36.1%(6.7%) 在宅勤務・リモートワークの制度の充実
29.0%(0.5%) 週休3日制の導入
27.0%(27.5%) 男性育休に関する制度・体制
23.1%(13.0%) 女性管理職の比率の高さ

このように回答割合が6割を超えている上位は、「福利厚生の充実」「待遇(給与や賞与など)の良さ」「社風や雰囲気の良さ」「ワークライフバランスの良さ」となっています。これらの中で、「待遇(給与や賞与など)の良さ」と「ワークライフバランスの良さ」については企業からの発信割合が低くなっていますので、改善が望まれる事項であると言えるのではないでしょうか。
 
企業からの十分な情報発信は、採用力を高めると同時にミスマッチの防止にも繋がりますので、工夫をしながら情報発信を強化していきたいところです。

参考:マイナビ「2024年卒内定者意識調査(2023/7/26)」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20230726_55443/

在宅勤務等、柔軟な働き方が望まれています

エンジャパンが行った「7000人に聞いたアフターコロナの働き方に関する調査」から5類化後のテレワークの状況について見ていくことにしましょう。
 
2023年5月8日に新型コロナウイルスが5類に移行し、出社頻度を増やす企業が増加しています。今回の調査では、こうした出社頻度を増やす企業に対する意識は以下のような結果となっています。

とても良いと思う 21%
まあまあ良いと思う 35%
あまり良いと思わない 23%
よくないと思う 9%

このように過半数が出社頻度の増加に対して好意的な反応を示しています。これはテレワークによりコミュニケーション不足などの課題が存在したことの裏返しであると言うことができると思われますが、一方で理想の出社頻度については「毎日出社」は21%に止まっており、その他の結果も以下のようになっています。

週4日出社 21%
週3日出社 21%
週2日出社 10%
週1日出社 6%
週1日未満(月1~3日)出社 7%
フルリモート 10%

このように出社頻度の増加については好意的に捉える傾向があるもの、リモートワークへの希望もかなり高いものになっていることが分かります。
このような「出社頻度やテレワーク等の働き方は企業選びにどの程度影響しますか」という質問については30%が「とても影響する」、33%が「少し影響する」、30%が「あまり影響しない」と回答しており、何らかの形で影響するという回答が6割を超える状況になっています。もっともこれはテレワークがなければその会社に入社しないという意味ではなく、テレワークがほとんどない職場を探しているという意見も存在することから、採用活動においてはプラスマイナス両方の影響があるということができるでしょう。とはいえ、毎日出社することを希望する社員が少ないことも事実であり、テレワークの実施有無が採用力に大きな影響を与えるということは間違いがないようです。

参考:エンジャパン「7000人に聞いた『アフターコロナの働き方』調査(2023/8/22)」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/34185.html

まとめ

上記データより、若者は、長い人生を考えると、成長のために退職するケースも多々ある。
逆に、自社にいて成長実感を得られる場合は、定着率向上につながるので、そのようなきっかけや、担当業務に対する「意味付け」が大事だと思います。意味づけとは簡単に言いますと、価値あることと思ってもらうこと。今やってもらっている仕事は一見雑用のように思えるかもしれないけど、このような点で会社や社会のお役に立つことにつながっていて、その経験は今後新たな業務につく場合でも、こういう点で繋がっている、だから頑張っていこう、といった働きかけのことです。本当に大事なコミュニケーションだと思います。

あと、福利厚生の良さ、については、まずは本丸である給与水準を高めることを第一優先に、その次に、あまりお金をかけずにできる効果的なことはないのか、を考えていく必要があると思います。
その点、出社頻度のお話にもあるように、在宅勤務は重要なツールだと改めて感じますし、在宅勤務からの発展系として、ワーケーションの推進も改めて考えるべき項目かと思いますので、まだ取り入れていない、あるいは取り入れ度合いが低い、と思われる企業様はご検討いただければと思います。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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