キャリア自律の観点や新NISAの内容を含めた新入社員の教育内容について 2024.1.29 人事・総務向け 失敗しない 研修担当者向け 計画・準備 みなさんこんにちは。 年始早々から、地震をはじめ驚かされることばかりが続いていて、全然心が休まる時がない雰囲気に包まれているように感じておりますがいかがお過ごしでしょうか。 私は毎年恒例のたこ揚げができましたが、毎年恒例、というその当たり前にできることの有り難さを感じているところです。 今年は、働き方改革の猶予を認められていた運送業や建設業等にも正式に法律が適用されることとなり、ますます時間管理や生産性の向上が求められることとなる1年となります。 その中で、企業においては入社した若手がうまく定着し、戦力化し、会社に1日も早く貢献してもらえる人材になってもらいたい、と思う反面、入社して3年以内で退職してしまう若手も増えており、悩ましい舵取りが迫られている状況です。 そのような中、今回は4月から新卒社員が入社される企業様にとって、教育内容を考える時期になろうかと思いますので、入社後1年目の壁や、キャリア自律につながる教育、そして今年からスタートしている新NISAについても触れてみたいと思います。 目次 新入社員が直面する1年目の壁 キャリア自律の観点も踏まえた研修計画について 新入社員だからこそ伝えておくべき資産運用 まとめ 新入社員が直面する1年目の壁 そろそろ、4月入社の新入・新卒社員の受け入れ準備が本格化してくる時期になろうかと思います。 最近では、新入・新卒社員の早期離職が毎年話題になっています。せっかく手間暇かけて、採用選考から入社まで、そして入社後の育成・教育を行なってもすぐに退職されると経済的にも精神的にも損失は大きいものです。 そこで今回は、リクルートマネジメントソリューションズの「新人・若手の早期離職に関する実態調査」の中から、入社後1年目の壁について見た上で、対応策を考えて見たいと思います。 なお、調査対象は、社会人1~3年目(大学・大学院卒のみ)の一般企業・公務員・教職員・非営利団体の正社員・正職員として勤務する方々となります。 この設問に対する回答の上位は以下のようになっています。 27.1% 仕事に正解がなく、どうすればよいか分からないことが多かった 21.1% 与えられた仕事の意味ややりがいが感じられず、やる気が出なかった 19.3% 仕事が忙しく、プライベートに割ける時間が少なかった 18.9% 想定以上にできない自分にショックを受け、自信をなくした 18.4% 学生時代や入社の同期に比べ、成長に後れをとっている気がして焦りを感じた 17.0% 周りにどう思われているかが不安で、自分を出せなかった 16.3% 上司や周囲への関わり方が分からず、一人で抱え込むことがあった 14.3% 上司や周囲と価値観が合わず、人間関係や仕事を進める上で苦労した このように「仕事に正解がなく、どうすればよいか分からないことが多かった」が他の回答よりも最も多くなりました。社会人1〜3年目の社員はまだ仕事を行うに必要な十分な知識や経験がありませんから、仕事で戸惑うことも多いと思います。 5月病などを防止する意味からも、新入社員の受け入れに当たっては、仕事の意味から丁寧に説明した上で、具体的な業務指示することが大事かと思いますし、ダイレクトに、どうすればよいか分からないことはありませんか?と都度、聞いてあげ、1年目の壁にぶち当たらないよう、事前に先輩・上司、会社がフォローすることが大事だと思います。 参考:リクルートマネジメントソリューションズ 「新人・若手の早期離職に関する実態調査(2023/11/8)」 キャリア自律の観点も踏まえた研修計画について 4月から実施する新入社員研修の計画について、キャリア自律の観点も含めて考えてみましょう。 新入社員研修の目的は、新たな環境に迅速に適応し、自身のキャリアを積極的に形成していく能力を育成することです。 以下に、主なプログラム内容を示します。 1.オリエンテーションと企業文化の紹介 ・会社のビジョン、ミッション、価値観の共有。 ・成功事例と失敗事例の分析を通じて、企業文化を深く理解する。 2.ビジネススキルの基礎研修 ・コミュニケーションスキル、プレゼンテーション、タイムマネジメント。 ・プロジェクト管理の基本、チームワークとリーダーシップの要素。 3.キャリア自律に関するワークショップ ・自己分析とキャリア目標設定の方法。 ・メンタリングやコーチングセッションを通じて、自身の強みと改善点を理解し、キャリアパスを描く。 4.実務体験とフィードバックセッション ・部門をローテーションし、様々な業務を経験。 ・上司や先輩社員からのフィードバックを得て、実践的なスキルを磨く。 5.自己成長とライフバランスのためのセミナー ・ストレスマネジメント、ワークライフバランスの重要性。 ・健康管理、趣味や社外活動の推奨。 この研修は、新入社員が自らのキャリアを自律的に考え、積極的に形成していくための基盤を作ります。 また、企業文化への理解を深め、社内のネットワークを構築する機会も提供します。新入社員が自己のキャリアパスを考える上で、これらの研修は大きな役割を果たすでしょう。ただ、内容も多岐に渡りますので、全てを一度にお伝えできない、という企業様は、上記内容を3ヶ月に1回くらい=年4回ほどに分けてお伝えすることで、教育機会も増え、本人からの悩み事を聞けるタイミングも増やせますので、分散教育、というものご検討いただければと考えています。 新入社員だからこそ伝えておくべき資産運用 新入社員が自己の財務計画と資産運用について学ぶことは、彼らのキャリアだけでなく、個人的な生活においても重要なスキルとなります。会社としてどこまで踏み込んだ内容をお伝えすべきか、と悩まれる企業様もあるかもしれません。自社では社員の個人的な生活も豊かになってもらうことを真に望んでいる企業様であればこそ、遠慮なく全てをお伝えすることだと思います。したがって、レクチャー内容は専門家であるFPや株式投資に詳しいお知り合いの方や社員さんに任せることが大事かと思いますし、最近では労務相談だけでなく、社員向けの金融リテラシー教育のご相談を受けることが増えてきていますので、現場でも同じような観点に興味関心があるということだと実感しております。 以下は、研修プログラムの一部として取り入れることができると思われる内容です。 1.資産運用と財務計画の基礎: ・財務計画の重要性と基本的な原則。 ・節約、予算管理、緊急時の資金確保などの基本的な金融知識。 2.新NISAの概要とメリット: ・新NISA制度の説明とその利点。 ・非課税で投資ができるメカニズムと、長期的な資産形成への影響。 3.投資の基本とリスク管理: ・株式、債券、投資信託などの基本的な投資商品の紹介。 ・投資リスクの理解とリスク管理の方法。 4.実践的な資産運用戦略: ・分散投資、長期投資の重要性。 ・新NISAを活用した具体的な投資例とシミュレーション。 5.個人のライフステージに合わせた資産運用計画: ・結婚、住宅購入、子育て、退職など、ライフイベントに応じた財務計画の立案。 ・年齢やキャリア段階に応じた投資戦略。 この研修は、新入社員に財務の自己管理能力を身に付けさせることを目的としています。 また、新NISAを活用した資産運用の知識は、彼らの将来の財務安定に貢献するでしょう。 あと、合わせて実施していただきたいのは、お金だけではなく将来の自分の目指す立ち位置や仕事内容、企業の中における貢献イメージ、社会貢献等も考えさせることを推奨しています。 理由は、投資に回すお金の元銭は、仕事を頑張った結果得られるもので、やはり仕事を頑張ってもらうことがまず第一だと思いますので、その点をしっかり伝えておくことで、単なる投資家を育てるための教育ではない、ということを理解させることが大事だからです。 まとめ 新たな環境に身を置いたり、新しいことに着手することは労力がかかるものです。 私はまだ新NISAでの積立はやっていませんので、せっかくですからこれを機会にチャレンジする過程で、若手社員の気苦労を少しでも感じてみつつ、分散投資で確実に増やしていきたいと思います。 下村 勝光(しもむら かつみつ) MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。 仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。 「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。 生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。 関連記事 >【2024年10月から】社会保険の適用範囲拡大になるルール改正!対象者と対応ポイント >【2024年4月法改正】裁量労働制の見直しに伴う新たなルール >【評価は個人や組織を促進する重要なツール?】改めて押さえておくべき育成や研修、評価について CO-MITでは、様々な目的から全国で研修・合宿施設の検索が行えます。 >研修合宿施設検索サイト「CO-MIT(コミット)」で施設検索する! また、ご希望の研修合宿を一括手配する「専門家に相談」サービスもご用意しております。 ホテルや研修センターをはじめ、全国のさまざまな施設と緊密に連携。研修や合宿の目的・日時・参加人数などを踏まえ、プロの視点から最適な施設および備品等の選定・提案・手配を進めます。 ぜひお気軽にご利用ください。 > 専門家に相談する! 記事一覧へ
この記事を見た人はこの記事も見ています 【2022年度は二刀流世代!?】昨年度新入社員の入社後の傾向から考える、今年度の新入社員へ教育すべきポイント 2022.4.27 従業員のキャリア支援と組織の発展に欠かせないキーワードとは?~本年度こそはリスキリングや学び直し、副業を制度化しよう!~ 2024.3.24 宿泊研修を低予算で行いたい方におすすめ!コスパが良くリーズナブルな施設特集 2024.1.24