【労務管理のポイント】こんな時どうなの?研修合宿で時間外のレポート作成。残業代は?

2019.9.25

【労務管理のポイント】こんな時どうなの?研修合宿で時間外のレポート作成。残業代は?

労働時間の考え方

研修参加時における労働時間については、会社が参加を義務づけているスケジュールはすべて労働時間と考えましょう。
したがって、休憩時間を除き、研修開始から終了までの研修スケジュールは1日8時間を超えて設定することは通常できません。(変形労働時間制を活用した場合は可能です)

また、スケジュールは合計8時間と設定していたものの、実際は8時間を超えてしまった、という場合は、当然その時間相当分の割増賃金が必要となります。

会社側として割増賃金の支払いをできるだけ抑えたいという場合は、スケジュールは最大8時間までの設定とし、予定時間内で終えるように強く指示しておくことが大事です。決して、課題が終わっていない場合は終わるまでやりきるように、と明確な居残り指示は出さないようにしましょう。

あとは、予定の時間が経過した後も各自が自発的に取り組むのであれば問題ありませんが、ただ、例えば研修での課題の量が明らかに予定スケジュール内で終わらない、といった場合は、本人が自発的に取り組んでいた、と会社側が主張しても、労働時間であったと認定されることとなる可能性が高くなりますのでご注意ください。

研修会場〜自宅間における移動時間の考え方

まず、労働時間とは社長や上司の指揮命令下に置かれている時間のことを指します。したがって、研修に参加するために、自宅を出てから会場に着くまでの自由な移動時間と、帰宅するために会場を出てから自宅に着くまでの自由な移動時間は、拘束されている時間とは言えますが労働時間ではない、と考えます。

ただし、研修に参加するために一旦会社に集合して参加者全員と一緒に来るように、といった指示を出したり、帰宅するための移動時間中に研修報告書の作成を命じている場合は、移動時間と言えども指揮命令下に置かれていると判断される可能性が高くなり、移動時間中も労働時間である、と判断されてしまいます。そのため、会社側からしますと労働時間と判断されないために、現地集合、現地解散、をオススメしております。また、研修終了後は研修をやり遂げた労をねぎらうとともに、帰り道ではアルコールも飲んで大丈夫ですよ、と一言お伝えしてあげても良いかなと思います。

総務・研修手配について

慣れているご担当者は全体的な流れが理解できているので良いですが、新任担当者からすると、何か漏れはないかな、と不安になるところです。ここでは、手配すべき内容を網羅しておきたいと思います。

  • 1)研修実施日程の確定
  • 2)研修実施会場や食事の手配
  • 3)研修内容や参加者の確定
  • 4)研修講師の依頼、日程調整、費用確定
  • 5)研修施設周辺にある施設等の確認
  • 6)研修実施中における怪我や病気に対応できる医療機関の有無の確認
  • 7)備品の持ち込み等の必要性確認
  • 8)研修会場までのアクセス方法
  • 9)研修実施の目的や狙いの提示
  • 10)研修実施の社内稟議作成と承認を得る

上記を参考にされつつ、手配を経験された中で、自分流の漏れのないチェックリストを作成されることをオススメ致します。

総務・研修手配関連で良くあるトラブルを回避するために。

念入りに準備していたものの、想定していなかったトラブルが発生し、冷や汗モノ、ということがあります。できるだけ皆さまがストレスなく研修を実施できるよう、ここでは良くあるトラブルの代表例を記載しておきますので、未然防止策としてご活用いただければと思います。

1)プロジェクターがうまく使えない
 プロジェクターを使ってパソコン画面を投影し、わかりやすく研修を進めていくことが今では普通になっていると思います。
プロジェクターとパソコンの相性や型式あるいはその日の機械の気分?!でうまく投影できない場合があります。

また、プロジェクターとパソコンをつなぐケーブルの長さが想定していたものより極端に短く、イメージしている配置ができない、ということも多々あります。対策としては、画面を投影するパソコンのメーカー名や形式をお伝えし、会場側で事前チェックをしておいてもらう、そして、必要となるケーブルの長さまで具体的にお伝えしておく、ということが重要です。万全を期すのであれば、会社で使用しているプロジェクターを持参しても良いと思います。

2)会場側に依頼していた物が思っていた物と違う等
 内容をまとめたり考えを整理するために、付箋やマジック、大きな紙等を使用することも研修では良く見受けられる光景です。
 手配する時に、長方形の付箋をお願いします、とお伝えしていたところ、確かに長方形ではありますが太さや大きさがイメージと違ったり、マジックもカラーもお願いします、とだけお伝えすると黒・赤・青の3色で、本当は5色欲しかったのに、とこちらの思惑と違う、ということもあります。また、マジックについては、準備されてはいるものの、ペンのインクが無い、ということで、研修参加者が困ってしまう、ということもしばしば。。

対策としては、付箋の大きさを「縦○㎝、横○㎝」「○種類」と、具体的に依頼することです。また、研修中に使用する想定枚数も確認しておき、「○枚」以上は使うと思います、と多めの数をお伝えしておくこともポイントです。

3)会場設備がイマイチ、でストレスある研修に。
 投影するスクリーンが小さく遠くに座っている人は見えにくい。参加人数がさほど多くないにも関わらず会場の大きさが広すぎて、バランスが悪かったり、大きな会場にも関わらずマイクがなくて司会進行がしづらい、ということもあります。そして、マイクはあるがハウリングして使えない、ということも。

 対策としては、スクリーンの大きさまで指示することが大事です。希望する大きさが無いようでしたら、できるだけ白い壁の会場を準備いただくことで、スクリーンの大きさを気にせずに投影可能な環境を構築することが可能です。会場に関しても、大きすぎるとバランスが悪いので、参加人数に対してちょうど良い大きさの会場を依頼する。大きい方がいいのでは、という会場側からのサービス精神は有難いですが、今回はそれは無しで、と指示されても良いと思います。マイクのハウリングについては、事前に確認していただくとともに、当日ハウリングした場合に会場側で対応できる方法を事前に確認しておく、ということが大事です。

4)研修講師や参加者が時間になっても来ない
 現地集合、ということで会場場所や住所は事前にお伝えしているにも関わらず、電車の遅延等の交通機関の乱れや少し迷ってしまって、という方も中にはいらっしゃいます。また、初めて依頼する外部研修講師だと、携帯電話番号がわからずに現時点でどちらにいるのかがわからずにヤキモキするということもあります。

 対策としては、携帯電話番号を事前確認しておくとともに、電車内等の携帯電話に出にくいシチュエーションを想定し、LINE等で事前に繋がっておくことで、やりとりしやすい環境が構築できます。また、こんな場所は迷わないだろう、という会場に関しても万全を期してアクセスルートを共有しておくことが大事です。

5)研修中に参加者が怪我や体調不良に
 階段を踏み外し打ちどころが悪くて血が大量に出ている、急な腹痛で苦しんでいる等、いつ何が起こるかわからないものです。会場で応急処置ができる救急用具を借りることができたり、薬があれば対応できるかもしれません。あるいはイザという時のために医療機関がどこにあるのか、を調べていれば緊急対応ができますが、そのあたりの事前準備が抜けていて焦ってしまう、ということもあります。

 対策としては、会場側に救急箱の有無を確認するとともに、焦らないために事前に周囲の医療機関をピックアップしておくと良いでしょう。

以上5点です。

会場側に伝えていたのに、と責任回避はできるかもしれませんが、研修参加者に効果的な研修時間を提供するためにもあくまで「自責」で考えて、そこまで確認するのか、というレベルまで踏み込んだ事前準備を行っていただきたいものです。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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