【パワハラ防止措置義務化】合宿研修時に発生する可能性があるパワハラ(アルハラ)について – 事例も紹介

2019.12.20

パワハラ防止措置に関する法律が2019年5月29日に成立しました。
大企業では2020年4月、中小企業は2022年4月に対応を義務づけられる見通しです。

今回、法律でパワハラ防止対策が義務化されることによって劇的にパワハラが減っていくとは思いませんが、被害者側からすると法律で義務化されたことで安心感が高まり、相談しやすい環境になるということは大きな意義があると思われます。

事業主へ設定された2つの防止義務

ちなみに今回、事業主側に設定された防止義務とは、大きく分けて2つあります。

(1)職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(2)労働者が相談を行なったこと又は、事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

何がパワハラに該当するのか、どこまでが業務上の指導やコミュニケーションなのかといった線引きは、業種、文化、状況、必要性、立場、受け止め方等の様々な要因により異なるものだと思います。
あらかじめ「こういう場合はパワハラです」という線引きをすること自体が難しい、と思われている人事総務担当者も多いはず。

今後はパワハラ防止措置義務化時代に向け、「これはパワハラに当たる、当たらない」という視点ではなく、「こういう行為は好ましくないのではないか」と考える習慣を教育していくことが大事だと考えます。
その中で、合宿研修中に考えられるパワハラの一環として、ついつい懇親を図るためにという名の元に、上司や先輩が飲酒を強要する「アルコールハラスメント」(以下、「アルハラ」)には今後ますます注意が必要だと思います。

今回は、パワハラにつながりやすいと思われるアルハラについて深掘りしてお伝えし、みなさまのお役に立とうと考えております。

飲み会が多くなる忘年会・新年会などのシーズンに、よく問題となるこのアルハラ。
最近では、飲酒を強要されるアルハラだけでなく、周囲の空気に合わせて飲みすぎてしまう「空気飲み」という言葉もあるようです。

アルハラの主要ご項目について

次に、1983年に設立し様々の実績のある「特定非営利活動法人アスク」、という団体が定義しているアルハラについてご紹介いたします。

アルハラの主要五項目
(1)飲酒の強要
社会的上下関係や伝統の理由で、心理的な圧力で飲まざるを得ない状況に追い込み、飲酒を強要する行為。
(2)イッキ飲ませ
場の雰囲気に乗じて、または罰ゲームなどと称して一気飲みや早飲みをさせる行為。
(3)意図的な酔いつぶし
酔いつぶすことを目的として開催される飲み会で、傷害行為にもあたる。
ひどいケースは吐くためのバケツや袋、つぶれ部屋などが用意されていることもある。
(4)飲めない人への配慮を欠くこと
アルコールを受け付けない体質の人の意向を無視して、お酒を強要したり、飲めないことを愚弄するような
行為。
(5)酔ったうえでの迷惑行為
酔ったうえでの非常識な暴言や暴力、セクハラ、ひんしゅくをかう行為。

以上5項目です。いかがでしょうか。
「合宿研修では帰宅する必要がないので、若手は酔い潰れるのがウチの伝統だ」、とか、体質的にアルコールを受け付けない参加者に対して、「まあまあ今日くらいは」とお酒をすすめてしまっている方はいませんか。

参考事例

さらに、アルハラで訴えられている事件をご紹介いたします。

ザ・ウインザーインターナショナルホテル事件

出張先で上司による飲酒強要(パワハラ・アルハラ)を受けたことなどが原因で精神疾患となり休職、
その後、自然退職扱いになった従業員による訴訟。
2013年(平成25年)に判決が下りた事件。

「事件概要」
少量の酒を飲んだだけでも嘔吐するほどアルコールに弱い体質である従業員に対し、上司が「酒は吐けば飲めるんだ」などと執拗に飲酒を強要。
その翌日、飲酒により体調を崩している従業員にレンタカーを運転させた。
さらに、留守電に「ぶっ殺すぞ」などという暴言を残すなどのパワハラもあった。
こうした行為から精神疾患を患った従業員は休職したものの、休職満了日までに復職できなかったため、自然退職扱いで退職。
従業員は自然退職は違法として地位確認請求とパワハラへの慰謝料請求を行った。

「訴訟の結果」
第一審の判断では、加害者の行為はアルハラではない、としましたが、第二審でアルハラ認定され、加害者と会社に対し、共同で150万円の慰謝料の支払いが命じられたものの、自然退職は違法ではないと判断されています。

※第二審の判断
被害者は、少量の酒を飲んだだけでも嘔吐しており、加害者は被害者がアルコールに弱いことに容易に気付いたはずであるのに、「酒は吐けば飲めるんだ」などといい、被害者の体調の悪化を気にかけることなく、再びコップに酒を注ぐなどしており、これは単なる迷惑行為にとどまらず、不法行為法上も違法である。
 加害者は被害者に対して不法行為責任を負い、当該行為は会社の業務に関連してなされたものであるから、会社としても715条に基づき使用者責任を負う。

この事件のポイントは以下の3つです。

(1)「反省会」とする飲み会が業務に関連していると判断された
飲み会が行われたタイミングは業務時間外でしたが、内容が業務と関わっていたことから、
会社側の使用者責任が認められています。
つまり、会社の指示のもとで行われた飲み会で起きたパワハラは、会社にも責任があると判断されたのです。

(2)パワハラと精神疾患の因果関係は認められなかった
従業員はパワハラが原因で精神疾患を患ったと主張しましたが、仕事のミスなど、ほかの原因も考えられるため、パワハラが原因だとは認められませんでした。因果関係が認められるような決定的な証拠がなかったともいえます。

(3)休職後の自然退職扱いは正当なものとされた
自然退職の有効性に関しては、メールで明確な証拠が残っていたことが理由とされています。
会社側は休職期間満了前に、復職に関しての相談を早期に行うようメールで伝えていました。従業員は労災認定に向けて行動していることは会社に伝えたものの、その後復職願を提出せずに休職期間が終了。
従業員が復職の相談や復職願の提出をしなかったことから、自然退職は有効であるとされました。

アルハラによる労災認定を受けるために行動をしていたとしても、
会社側にしっかりと報告・連絡・相談をしているかどうかがポイントのようです。

神戸学院大学ユースホステル部合宿、男子学生死亡事件

2008年3月の春合宿の宴会で、引退した3年生らが、2年生男子13人に対し、「きまり」として4リットルの焼酎原液の回し飲みを指示した。この回し飲みがこれから部を率いていく2年生の団結の決意表明だとされ、伝統的な恒例行事とされていた。一巡しても飲みきれなかった残りの500mlを飲み干した男子学生(当時20歳)が意識を失ったが翌朝まで放置に近い状態であり翌朝に110番したが、学生は死亡した。

判決としては、学生が酒の一気飲みなどを強要されるアルハラで死亡した
ということを大学と部員全員が認めることと、部員が連帯して和解金を支払い、大学側は見舞金の支払い+再発防止に取り組むことで和解となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
まずは、合宿研修時における変な伝統や風習の有無を確認したり、アルハラの存在を常に社員教育として行い、要注意人物には事前指導として「ほどほどに」ということをお伝えしておくことが、今後のパワハラ防止措置義務化時代における最低限必要となる対応だと思います。

また、徹底的なリスク回避をしておきたい、という場合には、合宿研修のカリキュラム内で任意参加だとしても懇親会がある場合、ノンアルコールなら懇親会開催OK、という思い切った指示を出す、というのも手かもしれませんね。

CO-MITでは、様々な目的から全国で研修・合宿施設の検索が行えます。
研修合宿施設検索サイト「CO-MIT(コミット)」で施設検索する!

また、ご希望の研修合宿を一括手配する「専門家に相談」サービスもご用意しております。
ホテルや研修センターをはじめ、全国のさまざまな施設と緊密に連携。研修や合宿の目的・日時・参加人数などを踏まえ、プロの視点から最適な施設および備品等の選定・提案・手配を進めます。
ぜひお気軽にご利用ください。
専門家に相談する!

記事一覧へ

SEARCH NOW CO-MITで施設探しをしてみませんか?

CO-MITは“研修合宿のプロが選んだ、厳選された会場を「プロ目線で検索できる」”
研修合宿施設の検索サイトです。

施設を検索してみる