【企業実務に影響大!】社有車5台以上で必要となる「安全運転管理者の選任義務と実務対応」について 2022.1.31 人事・総務向け 労務管理 経営層・管理職向け またまたコロナの猛威で「まん延防止措置発動」。もういいって(猛威って)「苦笑」、と言いたくなるくらい増えてきましたね。重症化はしにくい、ということでデータを見ると、日々発表される陽性者数の0.1%くらいが重症化するようなイメージです。 ちなみに現時点でのコロナ死亡者数は約19000人となっています。 この数はたとえば、厚生労働省からの発表による風呂場での推定死亡者数と同数。交通事故での死亡者数の約6倍。そんなに多いの?かなり少数?どのように感じられるかは個人差があるところかと思います。 コロナと共に2年程生きてきた中で、医療機関等の関係者のみなさまには本当に感謝しかありません。あとは経済活動をコントロールする政治が上手く舵取りを行ってくれることを期待しているところです。 そのような中、今回は2022年4月と10月に法律改正が行われる安全運転管理者に関する実務対応について、例えば企業研修のために社用車で少し離れた自然の中にある研修施設に現地集合したり、出張・ワーケーションで社用車の使用をOKとしている企業様等も含め、酒気帯び状況の管理方法に影響が出てきますのでポイントをお伝えしていきたいと思います。 目次 法改正の内容について 法改正のきっかけ 安全運転管理者の選任について よく聞くお悩み おすすめ!社用車、私有車の業務利用に関する規程 法改正の内容について 2022年4月から、運転「前後」の運転者の状態をまず目視等で確認し、酒気帯びの有無について必ず確認しなければなりません。また、その確認を記録した上で、その記録簿を1年以上保存しておかなければなりません。 また、2022年10月からは目視ではなくアルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認しなければなりません。2022年の夏頃から、法改正の対応を進める企業が多いためアルコール検知器が一時品薄になってしまうおそれがあり、10月に間に合わないということが考えられます。こちらは早めに準備しておくことが望ましいのではないでしょうか。 法改正のきっかけ 2021年6月28日、千葉県八街市で発生した痛ましい交通死亡事故が起きてしまいました。これまで、安全運転管理者は運転前に正常な運転ができるかどうかを確認することは義務つけられておりました。しかし、運転後においては酒気帯びの有無を確認すること、またその確認内容を記録することは義務つけられておらず、確認方法すら具体的に定められておりませんでした。この事故を受けて、道路交通法施行規則の一部を改正し、安全運転管理者の行うべき業務として、アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等を新たに設けることとなりました。 安全運転管理者の選任について 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用する、または、その他の自動車を5台以上業務に使用する事業所ごとに、安全運転管理者の選任を行い、選任した日から15日以内に事業所管轄の警察署に届出を行わなければなりません。仮に本社で10台、支社で5台業務に使用している場合は、本社および支社の両方の事業所で各々安全運転管理者を選任し、届け出なければなりません。ちなみに、本社で3台、支社で4台といったように合計で5台以上の場合では、本社・支社ともに選任する必要はなく、また、自動二輪車(原付除く)は1台を0.5台でカウントし、台数に含める必要があります。 選任・届け出の要否の判断をする自動車のカウント方法をまとめますと、会社が購入し保有する自動車のみではなく、自動車を使用して業務を行う場合には、車両の名義に関係なく、例えば、リース車両やマイカーであっても、カウントすることになります。したがって、マイカーを通勤のみに使用する場合は除きますのでご注意下さい。 その他、警視庁のホームページで「安全運転管理者等に関するよくある質問」が掲載されていますので、業務に自動車を利用する企業は適切な台数のカウントができているかをこの機会に確認しましょう。 参考:警視庁「安全運転管理者等に関するよくある質問」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/torikumi/drm_top.files/qa.pdf よく聞くお悩み 企業様からすでに安全運転管理者の法律改正対応についてご相談をいただきます。なかなか皆様頭を抱えられている状況で、結論としては「慣れ」さえすれば大丈夫、といった感触です。 ここでは代表的な内容をお伝えしておきたいと思います。 Q.うちの会社は運送会社ではないので今回の法律改正は関係ないですよね? A.今回の法律改正は業種業態に関係なく、業務に車を使う場合に該当します。 その車の台数が5台以上だと安全運転管理者を選任し、管轄の警察署に届出する義務が発生します。また、私の予想だと法律改正による世論の流れから、5台未満でも業務に車を使う場合の企業対応としては、運転者の酒気帯び状況を確認し、記録しておくことが望ましいのは当然であり、対応できていない企業における酒気帯び運転発生時の社会的責任の重みが増していくと思われます。今回をきっかけに、運転日報の一部として、酒気帯び状況のチェック内容を記録することを習慣化することが良いと考えています。 Q.法律改正後は業務で車を利用する場合は日々チェックするのですか? A.はい。週1回や月1回ではなく、運転当日の運転「前後」のチェックをすることとなりますので車を運転する日は、運転前と運転後の合計2回、必ずチェックすることとなります。 Q.うちの営業担当者は直行直帰が多く、会社に寄らないことがほとんど。管理なんてできないのでは? A.そのような場合でも、2022年10月からは各車両に、アルコール検知器を 常時有効に保持すること、が求められていますので、各車両に検知器を1つ、常備しておくこととなります。その検知器でセルフチェックし、酒気帯びの有無について記録させることが求められます。 Q.直行直帰だけでなく、車を使って長期出張に出る社員への対応方法は? A.車にアルコール検知器を乗せておき、業務のある日は毎日セルフチェックと記録簿への正しい記載を行うよう、指導しておく必要があります。 Q.社用車が200台以上あるけどどうしたものか? A.台数が増えても、求められている義務を軽減してもらえるような考え方は残念ながらありません。 おすすめ!社用車、私有車の業務利用に関する規程 法改正に連動する形ではありますが、社用車または私有者を業務で利用する場合について、規程をご準備頂くことをお勧め致します。 当然ではありますが、規程の中に、アルコール検知器の取り扱いや記録簿への誠実な対応を求める文章は必須となります。また特によくある問題として、私有車の場合、任意保険の使用目的が「レジャー」や「通勤」のまま業務に利用してしまうことがあります。この場合、万が一事故を起こした場合に想定していた保険金が支払われない可能性がありますので変更しておくことが必要となります。 あと、任意保険が正しく更新されているか、会社にコピーを提出させるといった年1回の定例業務を結構手間だと感じられている企業様も多いように感じていますが、こればかりは必要な業務である、と各自の保険更新時期をリスト化し、更新の1ヶ月前ほどから、本人に更新とその後の提出の呼びかけをするなど、定例業務にしてもらえたら、と思います。 また、保険に入っているから大丈夫だ、と事故を起きた場合よりも、そもそも事故が起きないために会社として必要な制度を定め、取り組んでいく内容を従業員に周知することが重要であると思いますので、酒気帯びだけはなく、運転時のスマホによるわき見運転等事故につながりかねない危険な行為を禁止する制度を定め、悲しい事故が二度と起きないように願っております。 下村 勝光(しもむら かつみつ) MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。 仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。 「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。 生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。 関連記事 >【2021年12月改正】職場環境に関する法改正とキャンプワーケーション >本当にできてる?今一度検討したい柔軟な働き方~テレワーク・移住公務員・ワーケーション~ >新型コロナウイルスのワクチン接種に関する労務管理関連情報とワーケーションの取り組み例例 >【2021年度企業向け】研修合宿にも使えるワーケーション助成金・補助金情報まとめ(掲載自治体募集中) CO-MITでは、様々な目的から全国で研修・合宿施設の検索が行えます。 >研修合宿施設検索サイト「CO-MIT(コミット)」で施設検索する! また、ご希望の研修合宿を一括手配する「専門家に相談」サービスもご用意しております。 ホテルや研修センターをはじめ、全国のさまざまな施設と緊密に連携。研修や合宿の目的・日時・参加人数などを踏まえ、プロの視点から最適な施設および備品等の選定・提案・手配を進めます。 ぜひお気軽にご利用ください。 > 専門家に相談する! 記事一覧へ
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