4月から実施されている労働条件通知書の注意点とタイパ実現に向けた価格改定について

2024.4.17

4月から実施されている労働条件通知書の注意点とタイパ実現に向けた価格改定について
新年度の初々しさもなくなり、いよいよ梅雨に向かっていく時期に差し掛かってきました。早いもので、中には4月に入社した会社を既に退職している、という方が私の近くでも出ております。
企業側からしますと入社された方がすぐに退職されるのはこたえますね。労力的にも、経済的にも。。

社会人の正社員だけではなく、パート・アルバイト、特に新たな生活をスタートさせた学生さんのアルバイトの方々も企業側からすると貴重な存在ですが、正社員と比べると辞めやすいのか、いきなり来なくなるケースもある(ドタキャン、飛んだ、という表現)、といったこともよくあるお話です。

逆に、アルバイトさんが面接時に聞いていなかった業務や勤務場所で酷使させられる、辞めたいの更新上限の有無(無に辞めることができない、学校にも行きたいのに勤務シフトに入れられ過ぎる、というケースもあり、「ブラックバイト」という言葉もよく聞きます。人不足が招く悲劇なのかもしれません。

ブラックバイトを減らすための厚生労働省のキャンペーンとは

いくら人不足でアルバイトでも売り手市場とはいえ、労使関係では使用者側が主導権を持つことができる中で、ブラックバイトを少しでも減らすために、厚生労働省では、全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施するとしています。

このキャンペーンでは、重点的に以下の事項が呼びかけられています。

1. 労働条件の明示
2. シフト制労働者の適切な雇用管理
3. 労働時間の適正な把握
4. 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
5. 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

そして、主な取組内容として、都道府県労働局による大学等への出張相談の実施、都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応、大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発が挙げられています。

労働条件明示のルールのポイント

上記でもありますように、4月からスタートしている「労働条件明示のルール」については、パート・アルバイトだけでなく、正社員にも当然適用されることとなりますので、再度ポイントを押さえておきましょう。

1 労働条件通知書の見直し(2024年4月以降に発行する通知書記載内容を変更する)

企業は新たに追加された明示項目を含む労働条件通知書を作成する必要があります。具体的には、将来の就業場所や業務内容の変更範囲を明確に記載することが求められています。
この変更は、すべての従業員(正社員だけでなく契約社員、準社員、アルバイト、パートなど)に対して適用されます。
通知書に記載する際に、就業場所と業務内容については(雇入れ直後)と(変更の範囲)の2点を記載する必要があります。

就業場所:(雇入れ直後)本社(変更の範囲)全ての支店及び労働者の自宅での勤務
業務内容:(雇入れ直後)接客(変更の範囲)全ての業務への配置転換あり

2 有期契約労働者の管理

有期労働契約の締結時や契約更新のタイミングごとに次の内容を明示することが必要となります。

更新上限の有無(無・有(更新 回まで/通算契約期間 年まで))

3 無期転換後の労働条件の明示

無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに明示が必要となります。
具体的な記載は次のとおりとなります。

本契約期間中に会社に対して期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の締結の申し込みをすることにより、本契約期間の末日の翌日(○年○月○日)から、無期労働契約での雇用に転換することができる。この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無・有(別紙の通り)

労働条件通知書の交付は原則として書面によるものですが、労働者の希望がある場合はメールやFAX、SNSを通じて電子的に行うことも可能です。ただし、電子メール等で交付する場合は、労働者が記録を出力して書面を作成できる方法に限られます。

また、改正法を踏まえたモデル労働条件通知書の参考資料が厚生労働省のウェブサイトで提供されているため、これを参考にすることを推奨していますが、一点注意が必要です。
実は、参考資料の一番下あたりに、就業規則を確認できる場所や方法という記載がさりげなく入っており、これも義務化されたかのような雰囲気を出していますが、実は努力義務の内容であり、記載しなくても良い内容となっています。
就業規則を確認できる場所や方法(会社システムにデータ掲載、各自PCからアクセス)といった内容が一般的だと思いますが、企業様によって色々とご事情がおありだと思いますので、記載したくない場合は無理に入れる必要はありません。
この点は弊社ご支援先から複数のお問い合わせがあった点となりますので共有させていただきました。

コスパよりもタイパの時代へ

次に、アルバイト・パートさんが職場を選ぶ際にやはり「時給」が大事ですよね。
時給も最近の言い方だと、タイムパフォーマンス(タイパ)と表現したりします。

ちなみに、タイムパフォーマンスとは、投入した時間と、それによって得られた効果や満足度の対比、すなわち「時間対効果」であり、「タイパ」とも略される、というのが一般的です。
「タイムパフォーマンス」で焦点となるのは、時間と効果・満足度の関係で、短い時間で高い効果を得られたなら「タイムパフォーマンスが高い(良い)」、長い時間をかけたのに収穫が少なければ「タイムパフォーマンスが低い(悪い)」ということなります。
時給が低い、というのはまさにタイパが悪い、ということになります。
一般的に、Z世代(若者世代)がタイパを重要視している、と言われることが多いですが、これって我々おじさん世代も同じやで、と言いたいところ。
時給が低いより高い方をおじさんも選びます。。。

タイムパフォーマンス(タイパ)とコストパフォーマンス(コスパ)

タイムパフォーマンス(タイパ)と比較されるのが、コストパフォーマンス(コスパ)。
費用対効果を意味し、いかに少ない投資で効果や満足度を得るか、という観点になります。

日本全体として、2024年4月から全業種で働き方改革に取り組んでいる状態となりました。
特に、建設業、運送業、医療、の3業種も規制が適用となっています。

私のご支援先である運送業の社長様との定例会で言われていたことが象徴的でした。以下のような内容です。
これまでドライバーの評価といえば、走行距離数、目標燃費の達成度合い、高速代の節約度合い、
車の綺麗さや洗車度合い、挨拶、荷主との関係性、配車係との協調性、勤務態度、といったところ。
これまで、高速道路を使わなくても何とかできたルートは各自の努力で対応してもらい、その努力度合いを見てきたが、これからは違う、今後は高速道路を全て使うこと。
そこをケチると労働時間が増え、働き方改革の中で荷物を運びきれなくなってしまう。とにかく高速道路を使い労働時間を短くし、浮いた時間で別の作業ができるなら、そちらを行うように。
少々コストが高くなっても、時間あたり生産性を上げていくことが生き残るすべである。
これまで高速道路代をもらえなかった荷主様からも理解を得て、全件から高速道路代相当額は払ってもらう。交渉に何年かかっても必ず全件からご理解を得て、ドライバーの労働条件の向上を実現しよう、
というお話でした。

まとめ

こちらの運送業様はドライバー対応だけでなく、今は配車係の長時間労働改善に向けたAI活用を検討中ですので、私からも月1回の定例会で、チャットGPTの活用方法や最近流行りつつある議事録の自動生成ツールの導入等について情報提供し、タイパ向上に向けて伴走させていただいております。
少々導入コストをかけてもタイパを意識せざる負えない時代ですね。

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下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。
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