【2022年から実務上影響大?】育児休業の法律改正について 2021.7.6 モチベーションUP 人事・総務向け 労務管理 経営層・管理職向け みなさまこんにちは! 前月の記事では、「従業員のワクチン接種状況管理、賞与情報、新たな助成金情報について」についてお伝えしました。 >前回の記事はこちら今だから知っておきたい!従業員のワクチン接種状況管理、賞与情報、新たな助成金情報について いつもながら本題に入る前に。。。。ということで、ついに65歳未満である大阪市内在住の私にもワクチン接種券が6月25日に到着しました!待ちに待ってはいたものの、いざ到着すると「来てしまった」という感情も湧き出てきたところに最近のワクチンに関する様々な情報の影響を体感しました。 ワクチンに対するメリット、デメリット、懸念事項等、色々ありますが最後は自己判断、とよく言われます。ちなみ私の長女(大学1年生)は、大学で7月2日に第1回目の接種を受けることになりました。 私も長女から相談され、ワクチンのデメリット・危険性も一部言われているけど、将来のことは誰もわからないし、接種して本来の学生生活を行いたいなら接種したらいい。運が悪くワクチンがきっかけで状態が悪くなったとしても、それはこれまでの行いが悪いから、と考えるしかない。と。 運悪くワクチンをきっかけに亡くなっている方も厚生労働省からの発表レベルでは6月23日現在で、約300名いらっしゃるので、運が悪い、という表現だけで済まないかもしれませんが、長女からすると他の友人達が接種を行い、今の不自由な環境から脱出することを横目に自分だけ接種せずに不自由なまま過ごすことは耐え難いと思っているので、「ワクチンリスク」と「自分だけ不自由なまま状態」を天秤にかけて自己判断、という流れになっていると思います。 私のご支援先の職場でも接種する・しない、の意見が結構分かれているようで、会社側のリスクヘッジとしては、従業員の自己責任に任せるのが良いと思いますよ〜、とお伝えしております。皆様の会社ではどのような状況でしょうか。。 目次 育児休業の法律改正について -ポイント1:取得要件の見直し -ポイント2:意向確認の義務付けルールの導入 -ポイント3:男性の育児休業の取得推進対策 -ポイント4:男性育休に対する女性のホンネ “ワーケーション”の次は“ブレジャー”が来る? 育児休業の法律改正について さて今回は、新聞紙上でも大々的に報道されていた、育児休業に関しての法律改正内容のポイントをお伝えしたいと思います。 ポイント1:取得要件の見直し 現状、法令で育児休業について、有期雇用労働者は、 (1)「引き続き雇用された期間が1年以上であること」 (2)「子どもが1歳6ヶ月に達するまでの間に契約が満了することが明らかでないこと」 という2つ要件を満たしたときに取得できます。 今回の改正で(1)の要件が削除され、(2)の要件のみとなりました。 有期雇用労働者に対する取得要件の緩和になりますが、別途労使協定を締結することで、以下の労働者について取得の対象外とすることができるため、労使協定を締結している時には、実質的な取扱いは変わらないことになりそうです。 ・雇用された期間が1年未満の労働者 ・1年(1歳以降の休業の場合は、6ヶ月)以内に雇用関係が終了する労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 なお、介護休業についても同様の改正が行われており、2022年4月1日に施行されます。 育児・介護休業ともに、労使協定の締結がポイントとなりますので自社内で正しく運用されているのか、是非ともご確認ください。 また、法令通りの規程で運用している場合には、就業規則(育児・介護休業規程等)の変更が必要になる改正です。 今後、厚生労働省がモデル規程を公開すると思われるため、まずはその内容を確認するようにしましょう。 ポイント2:意向確認の義務付けルールの導入 意向確認の義務づけルールが導入されました。 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置として、労働者または配偶者が妊娠または出産した旨等の申し出をしたときに、申し出をした労働者に対し出生時育児休業および現行の育児休業制度等を周知するとともに、これらの制度の取得意向を確認するための措置を行うことを義務付けられました。 ※周知の方法は、面談での制度説明、書面等による制度の情報提供等の複数の選択肢から選択することになる予定です。 個別周知・意向確認では、労働者からの申し出をしたときということになっており、労働者からいかにスムースに申し出を行ってもらうかということも課題の一つになるかと思います。育児休業の取得を早めに申し出てもらえるような仕組みづくりが今後、さらに一層重要になってくるのでしょう。なお、この改正は2022年4月1日に施行されます。 ポイント3:男性の育児休業の取得推進対策 男性の育児休業の取得促進のために設けられたものが出生時育児休業です。出生時育児休業は、子どもが出生後8週間以内に4週間まで取得できる育児休業ですが、以下の通り柔軟な取得ができるものになっています。 申出期限 原則休業の2週間前まで(通常の育児休業は1ヶ月前まで) 分割取得 2回に分割して取得できる(現状、パパ休暇以外は分割取得不可) 休業中の就業 労使協定を締結している場合に限り、従業員と会社が合意した範囲内で休業中に就業することができる(就業できる時間等の上限は設けられる予定) なお、この改正に伴い、現状のパパ休暇の規定は削除されました。また、この出生時育児休業に合わせて、雇用保険に出生時育児休業給付金が設けられます。 「休業」であるにも関わらず、就業ができることはとても大きな取り扱いの変更になります。施行は公布日(2021年6月9日)から1年6ヶ月を超えない範囲内で政令で定める日となっており、就業できる上限等は今後、厚生労働省令で設けられる予定です。 ポイント4:男性育休に対する女性のホンネ 男性育休って言っても、単に休んだらいい、という訳ではないのでご注意ください!これは法律改正の内容ではありませんが一番大事かも。 先日、女性経営者(2人のお子さんが既に成人され、お孫さんあり)との定例情報交換会の時に男性育休のことをお話した時に出てきた「なるほどな」話です。 確かに、男性が育児休業を取得しやすい環境づくりによって、子供を育てやすい世の中にしていくことは大事ですが、旦那が会社を休んでも、家で家事・育児等の助っ人にならない場合は、逆にお昼ご飯を作らないといけないし、家にいるだけだと、そのことに対してストレスがかかり、逆効果、になる。 会社としては特に今後育児休業の対象となる可能性のある年代の男性社員に、いざ自分が育児休業した時に妻の負担を軽減できるよう、日頃から家事が少しでもできるように役割分担をしていくことが最も大事なことではないか、という「教育」を実施しておくべきだ。 というお話でした。 また、人事労務のサポーターとして、色々な会社をご支援する立場の方々は、このような情報をどんどん発信して、本当に意味で世の中がよくなるようにしていってください!とクギを刺された次第です。 いかがでしょうか。(苦笑い) “ワーケーション”の次は“ブレジャー”が来る? 最後に。 私のイメージですが、出産後の育児といえば、妻が実家に里帰りです。このパターンでは男性が育児休業を取得する、という発想はなかったように思います。 実家が遠方ならなおさらですね。。 「ワーケーション」(休暇中に仕事をする)という言葉がだいぶ浸透しつつある中で「ブレジャー」という言葉があることをご存知ない方も多いのでご紹介させていただきます。 「ブレジャー」とは、業務での出張先で、滞在を延長するなどして、業務の後に旅行(レジャー)も楽しむこと。 英語の business(仕事)と leisure(余暇・休息)を合成した語である。 日本語では「出張休暇」と訳されることもある。 いろんな言葉・概念が生まれるものだな、と私も感心しているところで、 ワーケーションやブレジャーの理解促進、導入推進を行うことを目的が、観光庁がワーケーション&ブレジャーのサイトを立ち上げておりますのでご興味おありの方は是非ご確認ください。 ▶ 観光庁|ワーケーション&ブレジャー そのうち、(仕事)「ビジネス」+(育児)「チルドケア」+(男性)「メン」=「ビチケアメン」みたいな言葉も出てくる気配を感じている次第です。 下村 勝光(しもむら かつみつ) MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。 仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。 「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。 生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。 関連記事 >今だから知っておきたい!従業員のワクチン接種状況管理、賞与情報、新たな助成金情報について >新型コロナウイルスのワクチン接種に関する労務管理関連情報とワーケーションの取り組み例 >要チェック!2021年3月末発表の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」 >どうすればいいの?広まるワーケーションの労務管理や業務とプラベートの切り替え CO-MITでは、様々な目的から全国で研修・合宿施設の検索が行えます。 >研修合宿施設検索サイト「CO-MIT(コミット)」で施設検索する! また、ご希望の研修合宿を一括手配する「専門家に相談」サービスもご用意しております。 ホテルや研修センターをはじめ、全国のさまざまな施設と緊密に連携。研修や合宿の目的・日時・参加人数などを踏まえ、プロの視点から最適な施設および備品等の選定・提案・手配を進めます。 ぜひお気軽にご利用ください。 > 専門家に相談する! 記事一覧へ
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