【2022年度は二刀流世代!?】昨年度新入社員の入社後の傾向から考える、今年度の新入社員へ教育すべきポイント 2022.4.28 モチベーションUP リーダー・主任・マネージャー 人事・総務向け 研修担当者向け 計画・準備 いよいよ新年度がスタートしました!コロナ陽性者数は今でも1,000人以上/日の都市もありつつ、マスクを外すことに対しての議論が国でもなされ、ようやくウィズコロナ時代に入ってきたと思われます。一方、ロシアの侵略紛争はいまだに終わることなく、目を背けてしまうような痛ましい情報が報道され、やり場のない感情が湧き上がってきます。自分にできることは何か。 日々全力で世の中に貢献すること。そのように考えております。 今回は、昨年入社した新入社員の傾向をお伝えし、皆様の社業発展に貢献できればと思います。 目次 入社後の状況に関する調査結果① 入社後の状況に関する調査結果② 理想と現実とのギャップについて 2022年4月の新入社員とは 今年の新入社員に教育すべき内容 まとめ 入社後の状況に関する調査結果① 2021年度(昨年)の新入社員300人を対象に、新卒向け就業エージェント企業が実施した「入社後の状況に関する調査」の結果について共有させていただきます。対象数が300人、と少数なため、一概には言えないかもしれませんが、ある程度の傾向をつかむことができるのでは、と考えております。 まず、入社11カ月の2022年2月時点で、2021年4月入社の新入社員の9.3%が「すでに退職している」と回答しているという結果が出ています。この数字を高いと見るか低いと見るか。 在職している新入社員についても、49.6%(約半数)が「退職を考えたことがある」と回答しており、その退職を考えた時期では、「入社4〜6ヶ月後(35.6%)」が最も多く、ついで「入社7~9ヶ月後(27.4%)」と続いています。 上記からすると、新入社員の早期離職が、かつてとは比較にならないレベルで進行している可能性があります。 入社後の状況に関する調査結果② 次は、公益社団法人全国求人情報協会が実施した「2021年卒新卒者の入社後追跡調査」の内容から、新卒者の適職意識と離職の関係、そしてそれに対する指導担当の重要性について取り上げます。 そもそも新卒者の一定割合は、入社前の時点で転職を意識しています。具体的には、25.8%が入社前の時点で「転職志向」( 「転職することも視野に入れている」 「すぐに転職したいと思っている」 の計)であるという結果が出ています。 また、入社後約半年経過時点において、入社前に転職志向であった人の69.4%が、転職志向または既に離職しているという状況になっており、入社前の時点で転職志向がある場合には、かなりの確率で離職に繋がることが分かります。 今回の調査では、勤続志向と適職意識(自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じる)には相関関係が見出されています。まず入社半年時点での適職意識については以下の結果が出ています。 35.9% 自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた 26.8% 自分はこの会社で仕事をするのは向いていないと感じた 37.2% まだよくわからない この適職意識別に勤続志向・転職志向の割合を見てみることにします。 ◎自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた 勤続志向 89.1% 転職志向 10.9% ×自分はこの会社で仕事をするのは向いていないと感じた 勤続志向 18.7% 転職志向 81.3% △まだよくわからない 勤続志向 64.7% 転職志向 35.5% 適職意識の有無で、その勤続志向・転職志向に大きな差が生まれています。 その適職志向に大きな影響を与えていると思われるのが指導担当社員の存在だそうです。 指導を担当する社員がいる場合の適職意識が39.5%であるのに対し、いない場合には15.8%となんと2.5倍もの差が出ています。 また指導担当社員に担当業務のこと以外についても相談している場合には、特に適職意識が高くなっており、新卒者については、指導担当社員をつけ、幅広い相談に対応させることで、適職意識が上昇し、定着が促進されるという結果になっています。 理想と現実とのギャップについて 「新卒で入社した企業に対して、入社前の期待に比べ入社後はどのように感じるか」について、前述の調査結果には以下のように「期待を下回る」と回答した者が4割となっています。 期待を大きく下回る 9.3% 期待をやや下回る 31.4% 期待通り 31.0% 期待をやや上回る 23.0% 期待を大きく上回る 5.3% ここで、「もっとも期待を下回ったポイント」の上位は以下のようになっています。 14.8% 希望の配属先や仕事内容ではない 13.9% ワークライフバランスを実現できない 11.5% スキルを磨きにくい環境だった 10.7% 社内の人とコミュニケーションを取りづらい 10.7% 昇給、賞与が少ない 「希望の配属先や仕事内容ではない」が1位となっております。 これは会社が悪いのか、新卒社員が悪いのか。 会社側としてはなんとか優秀な新卒を採用したいため、学生達に自社を少し良く見せようと、学生が望まない内容は少し抽象的な表現にして説明し、学生側に正しく伝わっていなかった、ということもあろうかと思います。会社側の責任ですね。 新卒社員側としては、入社して1年目は下積み時代であることはわかりつつも、自分のやりたいことができず、そのストレス耐性が弱いための不満なのかも知れません。これはインターンシップへの参加による会社の理解等、情報収集が不足しているからかも知れません。 先日、プロ野球の千葉ロッテマリーンズ「佐々木朗希投手」が完全試合を成し遂げ、話題になっていますが、あの佐々木投手も高卒後、1年間は体力づくりを基本に下積み時代をしっかりとこなした結果、あのような投球ができるようになったと断言できます。このあたりは組織の人材育成に関する考え方ややり方を正しく選手(新入社員)に伝えることによって実現できることかと思います。 2022年4月の新入社員とは その年の新入社員のタイプをキャッチーなフレーズで表現する、人事労務分野の情報機関である産労総合研究所から本年度の新入社員のタイプが発表されています。 本年度は「新感覚の二刀流タイプ」と表現されています。 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、大学・後半期にさまざまな活動制限を受けた今年の新入社員。インターンシップや就職活動を、対面とオンラインの2つのスタイルで二刀流のようにこなし入社式を迎えた。しかし、就活中に職場の雰囲気や仕事に関する情報が得にくかった社員は、これまでの新入社員とは異なる新感覚(オンライン慣れ、対面コミュニケーションの不慣れ、配属・勤務地へのこだわり、SDGsへの興味、タイムパフォーマンス志向等)や未熟にみえる言動を受け止めた上で温かく交流し、1人ひとりを見つめた育成支援をしてほしい。そうすれば、才能が開花し、環境変化にも適応できる「リアル二刀流」になっておくだろう。 (引用:産労総合研究所 2022年3月28日 2022年度新入社員のタイプ) 今年の新入社員に教育すべき内容 二刀流世代には、3つのポイントを教えてあげてください。 ①社会人としての基礎を学び、社内外から気に入られ、人気者になる ・元気な挨拶と大きな返事をすること ・報告する時は事実をありのまま伝えること ・言いにくいことこそ速やかに報告すること ・個人の限界が組織の限界である、と勘違いしないこと ・仕入れ業者の方々にも元気で明るい応対をすること ②会社や社内メンバーに慣れ、自分を受け入れてもらえる状態を作る ・先輩上司の負担を軽くできるよう、雑用は進んで行うこと ・この1年間は、Z世代と思わせないくらい付き合いを良くする。場合によっては自ら先輩上司を誘って。 ・少々のサービス残業も厭わずに取り組むこと ・1年目から自分がやりたいことを主張しすぎず、なんでもやること ・同じことを何度も先輩に聞かなくても良い仕組みを作ること ③仕事の進め方の基礎を学び、戦力となれるよう、日々学ぶべきことを学ぶ ・毎月1万円程度は読書費用に使う ・人が集まる場所に積極参加し、おごってもらいながら人生の教訓を学ぶ ・日記をつけ、毎日の振り返りを行い、次からどうする、と日々改善を行う ・学んだことをしっかりとメモ(ノート)に記載し復習できる状態にすること ・WEB勉強会にも定例的に参加するよう、スケジューリングすること 上記のような真面目な内容をワーケーション的な環境でお伝えしながら、教育担当者とのコミュニケーションを取るのが効果的かと考えます。 場の持つ力は絶大です。良い景色のある場所、観光地のある場所を常日頃把握しておきましょう。 まとめ ①最近の新卒社員は、キャリアアップのためにも転職することを視野に入れながら会社勤務している、と会社側がまず思うこと。定年まで勤務してくれるはずとは絶対に思わない。 ②仕事内容をしっかり説明 ③指導担当社員をつけ、丁寧な説明を行ったり、色々な相談事に乗ること 少々の幼稚さや違和感があったとしても寛大に受け止めてあげ、じっくり育成していくつもりで接すること。バランス感覚のある、社内のエース級社員に新卒社員の育成をお願いするのが良いと思われます。 ④仕事を好きになってもらえるように ④については先日、ブラジルで勤続84年を迎えた100歳の男性がギネス世界記録に認定されましたことがありました。 私も3度の転職を経験しているので1社で84年間とは、びっくり仰天しております。 この男性は、15歳で入社した時には配送のアシスタントからスタートし、今でも営業部門のマネージャーとして、現場を支えられているようです。 長年、仕事を続けてこられた理由についてオースマンさんは、「何か好きなことをして時間が経つのを忘れるぐらいの仕事を探さなくてはいけない。私はそれを見つけることができた」と。 このコメントに社員定着の本質が隠されていると思います。皆様は好きなことを仕事にできていますか?あるいは今の仕事を好きになれていますか? 下村 勝光(しもむら かつみつ) MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。 仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。 「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。 生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。 関連記事 >4月新年度から取り組んでいきたい業務改善・生産性向上のポイント >【新人研修担当者必見】新入社員におすすめ 宿泊研修のメリット&期待できる効果 >社員研修・社員合宿研修の効果測定方法とは?研修の「見える化」を実現する CO-MITでは、様々な目的から全国で研修・合宿施設の検索が行えます。 >研修合宿施設検索サイト「CO-MIT(コミット)」で施設検索する! また、ご希望の研修合宿を一括手配する「専門家に相談」サービスもご用意しております。 ホテルや研修センターをはじめ、全国のさまざまな施設と緊密に連携。研修や合宿の目的・日時・参加人数などを踏まえ、プロの視点から最適な施設および備品等の選定・提案・手配を進めます。 ぜひお気軽にご利用ください。 > 専門家に相談する! 記事一覧へ
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