【知っておきたい】2020年9月改定される労務管理のポイント 2020.9.18 ウィズコロナ モチベーションUP ワーケーション 労務管理 経営層・管理職向け やっと梅雨が明けた!!と思ったら、猛暑の中でもマスクをつけ、コロナと熱中症に罹らないようにしていた不快指数100%の8月もあっという間に過ぎ去り、いよいよ秋に突入へ。 今年は夏祭り等の季節の風物詩がことごとく中止となり、気温が変化するだけ、といった味気ない状態が続きつつ、秋から冬にかけて、今度はインフルエンザの予防接種の時期に突入します。 目次 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えて 注目される「ワーケーション」経験の実態 セルフマネジメントの重要性 令和2年9月改定「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 まとめ 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えて 医療機関では9月からインフルエンザの予約受付をスタートしているケースも多く、コロナ禍において、企業の労務管理担当者としては、社員にインフルエンザの受診を進めるために、受診費用の企業負担割合を見直すことを検討されているケースが増えているようです。 ちなみに、10年程前のデータになりますが、(出典:労政時報 第3762号/09.11.27)のデータボックス、による新型インフルエンザ予防接種への補助実態をご紹介しておきます。 2020年9月では、弊社のご支援先情報からすると、何らかの補助を行う企業割合や補助率、補助額はおそらく増加しているものと思いますが、ご参考になればと思います。 (1)新型インフルエンザ予防接種への補助 何らかの補助を行う企業 42% 特に補助はしない 39% 分からない・未定 20% (2)健保組合の補助内容 一定額を補助する 87% 「1,000円」や「2,000円」とする企業が多いようです。 (3)会社の補助の内容 全額を補助 48% 一定額を補助 35% 半額を補助 12.5% 個人的には、コロナ禍においてインフルエンザや普通の風邪を引くにも引きにくい状況だと思いますので、できるだけ本人負担を軽減して従業員は100%接種、を基本に考える時期だと思います。 あと注射だけではなく、予防という観点ではやはりマスクの着用と手洗いが重要ですが、新型コロナウイルス用の予防接種は来年の半ばくらいとWHOも言っていることから、マスク生活は当分続くと思いますし、コロナの予防接種を手軽に受けられる状況になったとしてもコロナに罹らないためには、年中マスクを装着しないといけない時代になるのでは、とも思っています。 例えるなら、パンツを履くような感覚となりマスク装着が当たり前。 マスクを装着していないのはノーパンと同じ、といった状況が来るかもしれないと密かに警戒しております。 最近では女性のお化粧が取れにくいようにマスクの内側に立体的な空間を作り、マスクとファンデーションがあまり接触しないようにするグッズも手軽に入手できるようですので、各自工夫を加えながらマスク文化を上手に過ごしていきたいものです。 次に、平成30年1月に策定された副業・兼業の促進に関するガイドラインが、令和2年9月に改定されました。新内閣となっても副業・兼業の推進は進められていくことは間違いないと思っていますので、ガイドラインの内容をお伝えしておきたいと思いますが、その前に少し別の話をします。 注目される「ワーケーション」経験の実態 先日、ヤフーの記事に掲載されていたリゾート地での観光や休暇を楽しみながら働くというワーケーションの経験の有無について、「過去に経験あるが現在は行うことはない」が3%、「現在も行うことがある」が4.4%で経験者は計7.4%。 自分が今後ワーケーションをしてみたいかについては、「やや行いたい」との回答が計23.2%でワーケーションを希望する人はまだまだ少数のようです。 希望者数が少ない理由として、「仕事と休暇のメリハリが付けにくい」が37.6%。「費用が掛かる」が25.3%。 コロナをきっかけにテレワークなど場所を選ばない働き方が少しずつ浸透してきている感じがしていますが、ワーケーションもその延長で注目されていくことになると思っています。 現時点で希望者が少ない理由として、「仕事とオフの区別をきちんとつけられるかどうか」が障害になっているようです。 この区別をきちんとつけられるかどうか、というキーワードは、本業と副業・兼業の区別をきちんとつけられるか、という話ともつながっていると思っています。 セルフマネジメントの重要性 区別をつけることができる力、すなわちセルフマネジメントができるか否かが今後極めて重要なポイントとなり、セルフマネジメント力の向上につながる研修会や勉強会を実施できている企業・個人になることが必須です。 セルフマネジメント力を向上する研修や勉強会をワーケーションで行う、という企画も面白いかもしれませんね。 あと、本人の区別できる力を向上させることも大事ですが、やはり企業側が柔軟に希望者を受け入れる、という頭の柔らかさが無いと成り立たないと思いますので、まずは経営幹部層がワーケーションを行うことからスタートだと感じています。 令和2年9月改定「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の知っておいて欲しいポイントを抜粋し、抜粋部分に私からのコメント→を入れていきます。 (現状) (1)副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされている。 (2)厚生労働省のモデル就業規則でも、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」とされている。 →会社側が従業員の副業・兼業を認めない、ということはやはりできません。 私のご支援先でも複数社が副業・兼業を認めていて、該当者もオープンに実施しています。 おかげで働きやすい職場、という社内認識になっていっているようです。 (促進の方向性) (1)人生100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要。副業・兼業は、オープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという観点から地方創生にも資する面もある。 (2)副業・兼業を希望する労働者については、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である。 →会社側が多様性を本気で受け入れていくなら副業・兼業OK、ということをなるべく早い段階で周知し、浸透させる。認められた従業員側も本業でしっかり期待されている成果を出さないと副業・兼業もできない、という認識を持ち、本業先での生産性を上げていくこと。 (企業の対応) (1)副業・兼業を進めるに当たっては、労働者と企業の双方が納得感を持って進めることができるよう、企業と労働者との間で十分にコミュニケーションをとることが重要である。 →副業・兼業先での労働時間管理だけではなく、業務負荷や精神的ストレス等にも面談の場等で確認し、企業側から寄り添う姿勢が望ましいと思います。その企業姿勢を他の従業員も見ています。 (労働時間管理) (1)管理監督者でない労働者に該当する場合は、労働時間を通算して管理することが必要。 (2)事業主、委任、請負など労働時間規制が適用されない場合には、その時間は通算されない。 →本業先では労働者、副業・兼業先では個人事業主として確定申告する、という このパターンが一番本人の自覚を高め、労働時間規制から個人事業主部分を外しやすくなりますので、私も一番おすすめしているやり方です。 社員さんからすると、本業先で社会保険に加入できて保険証が使えたり厚生年金に加入しながら個人としてやりたいだけ働ける、という点でメリットを感じるケースも多く、このパターンは今後増えていくものと思います。 (副業・兼業の確認) (1)使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認する。 (2)使用者は、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましい。 →望ましい、という表現になっていますが、企業側として副業・兼業を認めることを前提として、申出しやすい雰囲気づくりと業務フローが重要だと思います。 本業さえしっかり成果を出していれば自由に認められる、という企業はそうでない企業で勤めている方々から羨ましがられることが多いです。私の感覚としては、少々昇給額や賞与額をアップさせるよりも効果は高いと感じています。 (労働時間の通算) (1)労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行う。 (2)副業・兼業の開始前に、自社の所定労働時間と他社の所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、後から契約した会社の時間外労働となる。 →後から契約した会社の方が時間外労働の割増賃金を払う可能性が高い、というこのルールを知らない企業様が多いです。ご注意ください。 (健康管理) (1)使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、原則として他社との情報交換により、難しい場合には労働者からの申告により他社の労働時間を把握し、自社の労働時間と通算した労働時間に基づき、健康確保措置を実施することが適当である。 (2)使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えること、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合い等を通じ、副業・兼業を行う者の健康確保に資する措置を実施することが適当である。 →本人からの申し出による副業・兼業の場合は企業側の法的リスクが少し軽減される考え方を示してくれているのが嬉しいところです。 (労働者の対応) (1)労働者は、自社の副業・兼業に関するルールを確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要がある。 (2)労働者は、副業・兼業による過労によって健康を害したり、業務に支障を来したりすることがないよう、自ら業務量や進捗状況、時間や健康状態を管理する必要がある。 (3)他社の業務量、自らの健康の状況等について報告することは、企業による健康確保措置を実効あるものとする観点から有効である。 →企業側だけでなく本人の自覚や適切な判断も求められています。やはりセルフマネジメント力が問われることとなります。 以上です。 まとめ 新たな内閣も発足され、新しい時代の到来がますます身近なものになってくると思います。良い方向に進んでいけるよう、自分自身で切り開いていきましょう。 私もますます取り組んでいきます。 下村 勝光(しもむら かつみつ) MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。 仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。 「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。 生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。 関連記事 >【2020年4月施行】本格的に企業へ影響が出てくる労基法改正について >【2020年4月1日からスタート!】同一労働同一賃金への対応が義務化。それにおける研修参加者について >【パワハラ防止措置義務化】合宿研修時に発生する可能性があるパワハラ(アルハラ)について – 事例も紹介 >【2020年4月から必須事項】未払残業代の消滅時効が延長! 研修参加の管理監督者の深夜割増は? 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