あいまいな目標をなくすには?目標管理制度に必要な具体的な目標設定

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あいまいな目標をなくすには?目標管理制度に必要な具体的な目標設定
こんにちは。普段は野球の応援ばかりの我が家も、ワールドカップサッカー2026日本戦は全て見ました。理由は、本田圭佑さんの解説が面白いからです。本田語録が取り上げられている中で「日本サッカーがレベルアップした理由は、どこでも動画で世界最高レベルのプレーを見ることができ、具体的なプレーイメージがしやすい環境になったことだ」というニュアンスのコメントを聞いた時は、確かにそうかも!わかりやすい!と感心しました。目標が具体的であればあるほど、能力を引き上げることができることを改めて認識した次第です。

今回は、言葉では分かっているけど出来ていない目標の具体化についてお伝えし、改めて人事や研修担当者が次に取り組むべきポイントを発見するきっかけになればと思います。

はじめに

「今期は頑張ります」「もっと意識して取り組みます」――こうした目標を見たことがある人事担当者も多いのではないでしょうか。目標管理制度や人事評価制度を運用する現場でも、こうした目標を設定してしまう社員は少なくありません。実は、こうした目標は、目標として機能していません。目標達成には、目標そのものの「具体性」が欠かせません。なぜ具体性が重要なのか、そして具体性を身につけるための研修をどう設計すればよいのかを、できるだけわかりやすく解説します。

結論:目標を立てる技術を教え、目標を具体的にさせる

目標達成のカギは、目標が「具体的」なのか否かです。あいまいな目標は行動に結びつかず、評価の場面でも誤解を生みます。だからこそ研修では、精神論ではなく「目標を立てる技術」を教えることが大切です。

あいまいな目標では、何をすればいいか、自分でもわからない

「頑張る」「意識する」だけの目標は、具体的な行動につながりません。具体的で少し難しい目標のほうが、あいまいな目標よりも高い成果につながることと言われています。これは、目標が具体的であればあるほど、「次に自分は何をすればよいか」が明確になり、行動に迷いがなくなるためだと考えられます。逆に、あいまいな目標は、本人にとっても「何をすれば達成なのか」が分からず、途中で行動が止まってしまいがちです。たとえば「営業力を強化する」という目標を立てた社員は、日々何をすればよいのか自分でも判断できず、結局これまでと同じ行動を繰り返してしまう方向へ行ってしまいます。

具体的な目標を作る5つのコツ

具体的な目標を作るためのコツとして5つポイントがあります。

1.具体的か
2.数字で測れるか
3.達成できる目標か
4.仕事に関係あるか
5.期限があるか

この5つを意識するだけで、目標のあいまいさはかなり減ります。たとえば「顧客対応を改善する」という目標は、一見具体的に見えますが、詳しく見ると、数字の基準も期限もありません。「今月末までに、クレーム件数を先月より2件減らす」と言い換えるだけで、行動も評価も明確になります。このように、少し表現を変えるだけで、目標は「行動できるもの」に変わります。例えば、社内で研修を実施する場合はこうした書き換えの練習を繰り返すことが効果的だと考えます。

目標があいまいだと、評価トラブルにもなりやすい

評価制度の運用を支援する現場でも、「目標がはっきりしていない」ことが、後の評価面談での不満や不服につながるケースをよく見ます。目標があいまいだと、評価も評価者の主観に頼りがちになり、部下の納得感が下がります。さらに、評価者によって判断基準がぶれるため、「隣の部署の方が評価が甘い」といった不満も生まれやすくなります。目標設定の段階でのあいまいさは、評価の公平性そのものを揺るがす原因になります。実際に、評価に関する労使トラブルの相談を受ける際、話を詳しく聞いていくと、そもそも期初の目標設定シートに具体的な記載がなかった、というケースに行き着くことが少なくありません。トラブルの予防という観点からも、目標設定の具体性は軽視できないポイントだと考えます。

具体的な目標設定を定着させる研修設計のポイント

1. 実際の業務目標を設定する練習をする

参加者自身の業務を題材に、あいまいな目標を具体的な目標に書き直す演習を行うことで、初めて実務で使えるスキルになります。できればあいまいな目標を具体的な目標に対する具体的なやり方まで書き出すことが効果的です。

例1)営業職系

「顧客満足度を上げる」→既存顧客50社のうち、四半期内に解約率を前期の8%から5%以下に下げる。やり方としては、月1回の定期訪問と、契約更新60日前のフォロー電話を行い、実施できているか否かのチェックを同僚の○○さんに毎週金曜日にしてもらう。

例2)事務職系

「業務を効率化する」→月次請求書処理の平均リードタイムを、現状の5営業日から3営業日に短縮する。10月末までにExcel突合作業をRPA化し、ミス件数を月平均3件から0件にする。

例3)管理職系

「部下の育成に力を入れる」→部下5名それぞれに四半期ごとの1on1(30分×3回)を実施し、年度末までに5名全員が担当業務の独力遂行率を70%以上に到達させる。進捗は四半期評価シートで確認。

2. 上司と部下が一緒に参加する形式にする

目標設定は一人で完成させるものではなく、上司と部下の合意づくりだと考えることができます。上司だけ、あるいは部下だけが研修を受けても、実際の目標設定面談では噛み合わないことがあります。できれば同じ研修を上司・部下がペアで受けられるようにすると、目標に対する考え方が揃ってきて、上司部下間でのやり取りもスムーズになりやすくなると思います。あと、上司の目標と部下の目標につながりがあるのか否かもポイントとなります。例えば、部下を統括する部長の目標は、部下自身の目標達成が積み上がることによって部の目標が達成できる、すなわち部長の目標の達成となる、という整理の仕方ができるはずです。したがって、部下が設定している目標が部門で追い求めている内容と全く関係のない内容だと、いくら具体的でわかりやすい表現になっていたとしても、そもそもその目標は、ズレている、と判断すべきです。例えば、部として今期はAIに関する資格を必ず一人1つは取得すること、という目標の中で、英検の資格取得を目標にしている部下がいる場合は修正する必要があります。

3. 自社の実例を使って、「良い目標」と「悪い目標」を比べる

一般的な例だけでなく、自社の過去の目標設定シートから、具体性の高い例・低い例を匿名にして比較させると、参加者の納得感が高まります。抽象的な説明よりも、自分たちの職場に近い実例のほうが、記憶に残りやすいためです。ただ、具体的な例を出すことによるデメリットもあります。それは、その例の記載内容を少しだけ変えるだけ、半ばコピペ的なものが出てくるケースがあり、自ら考えない社員を作ってしまう可能性が出てくる、と言うことです。

4. 研修だけで終わらせず、目標設定後もフォローする

研修を受けた直後は上手に目標を書けても、実際の目標設定シーズンになると元のあいまいな書き方に戻ってしまうことがあります。研修の数週間後に、実際に提出された目標シートを人事や上司がチェックし、必要であれば書き直しを促す仕組みを作ることで、研修の効果が定着しやすくなります。

まとめ

具体的な目標を立てる力は、才能ではなく訓練で身につくスキルです。研修も精神論ではなく、実践的な技術を教えるものにすることが大切です。目標設定の質を上げることは、社員の行動を変えるだけでなく、評価制度そのものの納得感を高めることにもつながります。目標設定は一度学べば終わりというものではなく、繰り返し練習し、フィードバックを受けることで、必ず上達するスキルだと考えています。

下村 勝光(しもむら かつみつ)
MIRACREATION株式会社 取締役。社会保険労務士法人MIRACREATION 代表社員。
仕事を通じて「笑いと驚き」を提供したい!をコンセプトに、北浜にある大阪証券取引所ビル8Fを本拠地としつつ、日々テレワーク中。
「難しいことをおもしろくして」をモットーに、現場に即した具体的なアドバイスを受けられると経営者から人気を博しております。
生まれは茨城県、育ちは大阪。趣味はフルマラソンで何とか3時間28分台を目指しております。

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